歌舞伎ファンが文楽を楽しむ方法!


  歌舞伎ファンでも、「文楽はちょっと…」という人が多いような気がします。もっとも私は文楽は好きですが、「能・狂言はちょっと…」と思っていますので、その気持ちもわかります(能狂言ファンのみなさん、すみません)。しかし、文楽は歌舞伎と同じぐらいに面白いです。そこで、歌舞伎ファンのみなさんが、すんなりと文楽を楽しめるようになるためにはどうするかをすこしだけ考えてみました。

(1)同じ演目を歌舞伎と文楽で見比べる!
  ご存知のとおり、歌舞伎の人気演目の多くが文楽から移されたものです。そのため、同じ演目を歌舞伎と文楽のそれぞれで鑑賞すると、違った面白さ、作品の深さを感じ取ることができます。ビギナーの私の場合、そのきっかけとなった演目は「妹背山婦女庭訓(いもせやまおんなていきん)」でした。

  もともと私は歌舞伎より先に文楽に興味を持った派でした。文楽の妹背山を鑑賞したとき、一番気になったのが「苧環(おだまき)」。こんな日本語の単語を知りませんでしたので、とても気になりました。そして、文楽でのあの小さな苧環が、歌舞伎ではどのように出てくるのだろう、どれくらい大きいのだろうか…という興味から歌舞伎も観てみた、というようなところから歌舞伎に入っていった次第です。すみません。歌舞伎から文楽へも同様な例がたくさんあると思いますので、探してみるのもよいと思います。




(2)気になった演者から深入りする!
  文楽の場合は、歌舞伎のような花形役者がいないため「この人が好き!」というところから深入りするきっかけがなかなかつかめないと思っている人が多いかもしれません。でも、実はそうではありません。文楽は人形遣い、語り手の太夫と分業なので、登場人物が多い。それだけ、特徴のある人がいろいろといます。何度か観に行くと気になる人がでてきますので、そこを深入りするきっかけにしてほしいと思います。

   ビギナーの私の場合、それは太夫さんの「笑い声」でした。たしか「一谷嫩軍記(いちのたにふたばぐんき)」でのある太夫さんの、笑い声を演じるところが、もうおっかしくておっかしくて、それがつかみでした。「フッフッフ、フッフッフ、ファッファッファ、ファッファッファ、ファーッファッファ、ファーファッファ」と、1分くらいでしょうか。汗水垂らして、鼻水もちょっとだしながら熱演しているのを見てからは、もうその太夫さんの「笑い声」のとりこです。登場しても笑い声がないと、がっかりしたりして。あれ、今日は笑い声なし?などと。

  いかがでしょうか。ビギナーの私としては、実は歌舞伎よりも文楽のほうがとても奥が深いと感じています。それは、演じている人形を見ることで、いろいろと想像を膨らませながら鑑賞することができるからです。それは、「マンガ」に通じるのではと思っています。立体の動くマンガ。それが文楽です。歌舞伎の場合は、演じている内容のほかに、演じている役者さんの人柄や梨園の世界を想像してしまいますが、文楽の場合は、人形を通して自分のことをちょっと考えてしまうんですよね。なんちて。

  とにかく、歌舞伎ファンの方にも文楽を楽しんでもらえれば幸いです。

スポンサーリンク

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

スポンサーリンク