歌舞伎ファンに限らず必見! 「芸術祭十月大歌舞伎」(昼の部)オススメ度の星評価!


 好評の歌舞伎初心者向け、オススメ度の星評価表!!現在、東京・歌舞伎座で公演中の「芸術祭十月大歌舞伎」(昼の部)の初心者向けのオススメ度表です。★が多いほど必見です。満点は★★★★★。
公演会場での「盛り上がり度」、「眠っている人度」、「口コミ度」などを総合的に判断しました。
★:オススメ、☆:イマイチ

<夜の部>
★★★★★(1)極付印度伝 マハーバーラタ戦記 序幕(11:00-12:45)
★★★★☆(2)極付印度伝 マハーバーラタ戦記 二幕目(1:15-2:20)
★★★★☆(3)極付印度伝 マハーバーラタ戦記 大詰 (2:40-3:40)




【総評】
・総合点★★★★★
 総合点で満点の五つ星!新作歌舞伎なのですが、歌舞伎のエキスがぎゅっとつまったすばらしい演目です。ビギナーのかたから歌舞伎通の方まで広く楽しめる演目に仕上がっていると思います。菊之助と松也が主人公ですが、贅沢な布陣の脇役がすばらしかった。菊五郎、時蔵、左團次、鴈治郎というベテランから、七之助、梅枝、萬太郎、彦三郎、亀蔵x2、児太郎、種之助、萬次郎、團蔵などなど、贅沢すぎます。みなさん、楽しんで自信を持って演技しているのが伝わってきました。とくによかったのが七之助。こういうあやしい役になると、声も張りが出てすばらしい演技でした(イヤホンガイドでもそう言っていました)。

 「仮名手本忠臣蔵」、「白浪五人組」、「勧進帳」の要素を垣間見ることもできますので、「歌舞伎応用問題」のような演目とも言えるでしょう。新作歌舞伎といえば、勘九郎も野田秀樹版で挑戦していますが、それに比べるとより歌舞伎に近く、違和感なく楽しめると思います。

 特筆すべきは伴奏の演奏です。こっれが素晴らしい。舞台上には通常の黒御簾のほかに、上手(かみて)側にちょっと張り出した演奏スペースがあり、その中で黒衣の演奏者が各種打楽器から木琴類などを演奏していますが、とても力強く、本当に素晴らしい。舞台の流れに音楽がぴったりとマッチし、リズムに体を揺らして全身で演奏する様に、ほんとうに感動しました。音楽だけ聴いているたけでも満足できそうです。本当にありがとうございました。





<10月17日の観劇結果です>
<昼の部>
★★★★★(1~3)極付印度伝 マハーバーラタ戦記 序幕~大詰までまとめて
 文句なしの五つ星です。序幕は長丁場となるこのお芝居の大切な導入部分ですが、ストーリーもわかりやすく、すんなりと入り込んでいける内容でした。寝ているヒマはありませんし、まわりをみても寝ている人はいませんでした。

 冒頭は金色の豪華な衣装がまぶしい場面からのスタートです。イヤホンガイドで解説していましたが、この場面は「仮名手本忠臣蔵」の冒頭の「大序」を彷彿とさせます。ひとりひとりが目を覚まして動き出す様は、緊張感とともにこれからのお芝居に対しての期待が膨らむ場面です。勢揃いした面々が格好いいですね。太陽神の左團次は赤ら顔でちょっとおちゃめでした。

 幕が開くといつもの歌舞伎には聞き慣れない金属音が響きました。「ちょっと、携帯鳴ってるじゃん!」と一瞬むっとしましたが、それは舞台演奏の楽器の音でした(汗)。歌舞伎舞台での金属音といえば、時計の「カラカラカラ……キーン」しか思い浮かばないので、金属音がとても新鮮に感じられると思います。あと、キーンと長く続く金属音も。鐘の縁をずっとこすって鳴らしているようでした。この音も不思議な感じを醸し出すのに大切な音響効果でした。

 さて、時蔵さんは久しぶりの歌舞伎座ですね。さすが立女形の第一人者として、抜群の安定感です。舞台が引き締まって見えました。夏休みに国立劇場で開催された「小学生のための歌舞伎体験教室」を縁あって見学する機会がありましたが、時蔵さんはとても素敵なお方でした。私服の時蔵さんはファッショナブルでとてもかっこよいのですよ。團蔵さんも先生をしていましたが、大声でしっかりと指導するので、小学生からは怖がられていたようですが、それだけ真剣に指導してくれるのはありがたいことです。今回の演目では、矢が頭に刺さった牛を抱えた團蔵さんが菊之助さんにすごむ場面がありますが、そんなことを思い出してしまいました……。

 話がそれてすみません……。序幕では、彦三郎、亀蔵、松也、萬太郎、種之助による「白浪五人組」のような場面もあって、心地よく観ることができます。カラフルな着物で力強い見得を切るところは、歌舞伎らしくて安心しました。

 ほか、梅枝と亀蔵の所作事もありましたが、菊之助が振り付けを考えたとイヤホンガイドで説明していました。緊張が続くしばいの途中にある舞踊モノで、バランスがとても良く感じました。これは「仮名手本忠臣蔵」の道行きの所作事を意識しているのかもしれませんね。長唄の義太夫節や竹本も楽しめたりと、とにかく贅沢な演目です。

 そして最後はおおがかりな立ち回りが続いて、大団円。菊之助、松也を中心にすべての役者さんが映える素晴らしい舞台でした。みなさんもぜひご覧ください。

▼夜の部の報告はこちら

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