歌舞伎初心者に最適!ぜひ一読を!!「歌舞伎の解剖図鑑」(辻和子著)


 ビギナーのみなさんにオススメするよい歌舞伎入門の本を発見しました。辻和子さんが絵と文をかいた、「歌舞伎の解剖図鑑」(エクスナレッジ)です。東京新聞や松竹の歌舞伎公式サイト「歌舞伎美人」などで連載をもっている方の本です。ほとんどがイラストでとても読みやすい。そのイラストもとてもかわいく、漫画チックではなくて歌舞伎に雰囲気にぴったり。

 歌舞伎用語から演目の説明はもちろんのこと、劇場での過ごし方、観劇のポイント、こんな面白いところがあるなど、目から鱗(うろこ)がぽろぽろ落ちました。家系の説明や有名役者の概要説明もあり、ビギナーが網羅すべきことがすべて記述されていると言っても過言ではないでしょう。冒頭には「籠釣瓶花街酔醒(かごつるべさとのえいざめ)」を詳細に解説していますが、悲しいかなこれでいきなり本棚行きの可能性もなきにしもあらずなので、この部分はスキップ。1章「歌舞伎を観にいこう!」からスタートするとよいでしょう。

 とくによかったのが、「通し狂言」と「見取り(みどり)」の違いを「フルコースでも単品でも美味」と表現している点。たしかにそうですよね。おっしゃるとおりです。巻末ちかくには有名演目の見どころにも触れていますが、これは芝居を観る上での予習に最適。この演目の説明部分だけを一冊にして読んでみたいです。十八番(おはこ)をもっと説明してほしいですし、「壽蘇我対面」「直次郎」なども読んでみたい。「籠釣瓶花街酔醒」もここでよいんじゃない?

 ビギナーはもちろんのこと、歌舞伎を一度観てちょっと気になっている方が、より理解を深めるのに現時点で最強の入門書でしょう。ぜひ手にとってください。

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