正月らしさ満載!初春歌舞伎公演「通し狂言 世界花小栗判官」(1月国立劇場)


 好評の歌舞伎初心者向け、オススメ度の星評価表!!現在、東京・国立劇場で公演中の初春歌舞伎公演「通し狂言 世界花小栗判官」の初心者向けのオススメ度表です。★が多いほど必見です。満点は★★★★★。公演会場での「盛り上がり度」、「眠っている人度」、「口コミ度」などを総合的に判断しました。★:オススメ、☆:イマイチ

★★★★☆(1)通し狂言 世界花小栗判官(せかいのはなおぐりはんがん)




【総評】
・総合点★★★★☆
 ビギナーが観た方が良いか、観て面白いかという視点から評価して「四つ星」としました。深くストーリーを理解しなくても楽しめるお芝居です。正月にふさわしく、豪華絢爛、さまざまな場面を楽しめ、歌舞伎の「おせち料理」とも言えるでしょう。国立劇場の歌舞伎はリーゾナブルに楽しめますので、ぜひ足を運んで正月気分を味わって欲しいと思います。いわゆる古典歌舞伎ではありませんが、これも立派な歌舞伎というのを理解するのに最適だと思います。

<1月3日の初日観劇結果です>
 初日は、開幕前に正面玄関前で出演役者による鏡開きが行われていました。そのため、「おとそ」を飲むためのお祝いの「升」も配られてました。国立劇場と焼き印されているレアモノです。そのためか、入場待ちは長蛇の列でした。正月の初日の国立劇場歌舞伎、正月気分を味わうのにいかがでしょうか。

★★★★☆(1)今初春歌舞伎公演「通し狂言 世界花小栗判官」
<タイムスケジュール>
(12:00-1:00)
発 端 (京) 室 町 御 所 塀 外 の 場
序 幕 <春> (相模) 鎌倉扇ヶ谷横山館奥庭の場
同 奥御殿の場
江 の 島 沖 の 場

(1:35-2:40)
二幕目 <夏> (近江) 堅 田 浦 浪 七 内 の 場
同 湖 水 檀 風 の 場

(2:55-3:40)
三幕目 <秋> (美濃) 青 墓 宿 宝 光 院 境 内 の 場
同 万 屋 湯 殿 の 場
同        奥座敷の場

(3:50-4:10)
大 詰 <冬> (紀伊) 熊 野 那 智 山 の 場

 通し狂言のため、上演時間は約4時間。奪われた宝をめぐっていろいろな物語が展開し、最後はその宝を奪い返す、という話ですので、途中で眠ってしまっても、大丈夫。その本筋さえ抑えていれば大丈夫ですから。しかし、冒頭の奪われた宝の周辺の話が長くなって、いったい何の話だったっけ?と迷ってしまうことも若干ありましたが。

 幕が上がると、真っ暗な舞台上には満天の星空が。そこに流れ星が流れる…という、趣向の凝らした始まりで、2018年の国立劇場歌舞伎は開幕です。冒頭、小栗判官の父が風間八郎に殺されるという場面から始まります。そうして八郎が重宝を盗み出し、壮大な物語の始まりです。これ以降は説明するとネタバレになりそうですので、「奪われた宝を奪い返す物語」ということだけにしておきます。

 演目では「馬」が元気よく活躍したり、八郎が煙に巻いてスッポンから消えたりと、とにかく楽しい舞台です。ぜひ会場でお芝居を楽しんでいただきたく思います。

 おもな配役は、重宝を奪い返すために奔走する主役の小栗判官に菊之助、その敵方である風間八郎を菊五郎。そして、時蔵が政元とお槙の二役、松緑、彦三郎、片岡亀蔵、梅枝、萬太郎、竹松、尾上右近、橘太郎、板東亀蔵、権十郎、萬次郎、團蔵などなど、とても安定した布陣です。




 初日にもかかわらず、完成度が高く、安定したお芝居となっておりました。それはプロですから。菊五郎は悪者の八郎のはまり役で、菊之助も安心して観られました。時蔵の立役と女形が同時に観られるのは、とてもお得な感じです。板東系の方々の楽膳、彦三郎、亀蔵は、ほんとうにすばらしい役者さんですよね。亀蔵も亀寿時代からとても成長している感じがします。松緑の気迫こもる演技も見逃せません。自ら腹を切ってその腑(はらわた)を海に投げると、舞台一面が赤く染まっていくという場面は、グロテスクで怖さも伝わってきました。ありがとうございました。

 橘太郎のおとぼけも最高。途中の演目では、目の周りを黒く塗って「シャンシャン」として登場。「わたし、失敗しないので」と大門未知子のセリフをはいたり、「けん玉の14番が落としてしまってびっくりしたー」と紅白歌合戦のネタを披露したりと、事情のわかる人のみが大笑いしていました。正月らしくてよいですよね。

 毎年1月は国立劇場歌舞伎で過ごすのをローテーションにするとよいかもしれません。まだ舞台は続いていますので、気になる方ぜひ足をお運びください。




スポンサーリンク

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

スポンサーリンク