ビギナー向け演目そろい!「新春浅草歌舞伎」(第2部)初心者向けのオススメ度星評価!


 好評の歌舞伎初心者向け、オススメ度の星評価表!!現在、浅草公会堂で公演中の「新春浅草歌舞伎」の初心者向けのオススメ度表です。本日26日が最終日となってしまいました。報告が遅くなりましてすみません。★が多いほど必見です。満点は★★★★★。公演会場での「盛り上がり度」、「眠っている人度」、「口コミ度」などを総合的に判断しました。★:オススメ、☆:イマイチ

<第2部>
お年玉〈年始ご挨拶〉(3:00-3:10)
★★★★☆(1)操り三番叟(3:10-3:40)
★★★★☆(2)双蝶々曲輪日記 引窓(4:00-5:20)
★★★★☆(3)銘作左小刀 京人形(5:45-6:15)





【総評】
・総合点★★★★☆
 第二部はビギナー必見です。代表的な舞踊モノと世話物、そして歌舞伎・文楽のおめでたいときの定番の「三番叟(さんばそう)」が見られますので、初心者はぜひ浅草公会堂に足を運びましょう。




<1月6日の観劇結果です>
<第2部>
お年玉〈年始ご挨拶〉(3:00-3:10)
★★★★★(1)操り三番叟(3:10-3:40)
★★★★★(2)双蝶々曲輪日記 引窓(4:00-5:20)
★★★★☆(3)銘作左小刀 京人形(5:45-6:15)

お年玉〈年始ご挨拶〉(3:00-3:10)
 第2部の挨拶は巳之助の登場です。にぎにぎしい挨拶のあと、マイクをもっての軽快なトークとなりました。巳之助、髪の毛がセミロングなのが意外でした。その髪形に袴姿が似合ってとてもステキな若者です。いつもカツラをかぶっているのでヘアスタイルはよくわからないのですが、俳優さんのそういう別の面を見られるところが、この新春浅草歌舞伎のよいところですね。楽しいお話しありがとうございました。




★★★★★(1)操り三番叟(あやつりさんばそう)(3:10-3:40)
 そして、第2部の歌舞伎演目の始まりは、めでたいときの定番の「三番叟」です。漢字では「三番(さんばん)」となっていますが、「さんばそう」です。さんば。日本の代表的な伝統芸能の流れをくんだ、由緒ある踊りです。能にもあるようですよね。

 この「操り三番叟」は、操り人形に三番叟を踊らせる、という趣向の演目になっています。ひもは見えませんが、じっさいにひもがあるようなお芝居が見どころで、パントマイムのようでもあり見ていてとても楽しい演目です。

 配役は、種之助が三番叟、隼人が千歳(せんざい)、錦之助が翁(おきな)、梅丸が後見人(こうけんにん)を演じていました。種之助と隼人の息がぴったりあっていました。正月にふさわしく、めでたい気分になれる演目でした。この「操り三番叟」はビギナーにもわかりやすい「三番叟モノ」と言えると思いますので、初心者のみなさまは要チェックです。




★★★★☆(2)双蝶々曲輪日記 引窓(ふたつちょうちょうくるわにっき ひきまど)(4:00-5:20)
 第二幕は歌舞伎の代表的な世話物(せわもの)の「双蝶々曲輪日記」の「引窓」というお芝居です。江戸時代の庶民の生活を描いたドラマです。この「双蝶々曲輪日記(ふたつちょうちょうくるわにっき)」は、長いお芝居のためその一部分が演じられることが多く、その一つがこの「引窓」というお芝居となります。今月の歌舞伎座ではこの別の部分の「角力場(すもうば)」が演じられていますね。

 順番でいうと、「角力場(すもうば)」が二段目、「引窓(ひきまど)」八段目となります。ほかに三段目「井筒屋(いづつや)」、四段目「米屋(こめや)」、五段目「難波裏(なんばうら)」とあるようです。一度通しで見てみたいところです。

 家族の情愛を描写したお芝居です。江戸時代にこのようなきめのこまかい情感を表現したお芝居があったことに驚きを感じます。現代の家族ドラマよりも奥深い部分があるような気もします。というようなことが言われる演目ですが、ビギナーのわたしもそう思います。
 
 ストーリーは複雑ではありませんが、ビギナーは予習をして臨みましょう。どんなお話しか簡単にまとめますと、「意図せず罪を犯ししてしまった息子を、家族のみんなでかばって守る」というお話しです。

 とても哀しい物語です。このお芝居のポイントは「三味線」です。もの哀しさが、BGMの三味線でさらにもの哀しいものになっているのです。三味線がいかに人間の哀しい感情を表現するのにぴったりな弦楽器か、というのを体験できるお芝居といっても過言ではないでしょう。三味線に聞き惚れていただきたく思います。

 長五郎の松也が主役です。綿(わた)がはいった着物のせいか、ほんとうに関取に見えるのが妙ですよね。それにしても、ほくろがとってもおおきい。五百円玉ぐらいの大きさがあるでしょうか。また、お幸役の歌女之丞が、驚いたときに「シェー」といってのけぞるシーンは見逃せません。ほか「おちやんす」「そりやんす」など、昔の江戸言葉も聞けて楽しめます。

 ビギナーのわたしとしては、「角力場」よりもこの「引窓」のほうが楽しめました。それはやはり三味線がよかったからです。みなさんもぜひ、三味線に「注耳」して観劇ください。




★★★★☆(3)銘作左小刀 京人形(5:45-6:15)
 第2部最後の演目は、所作事(しょさごと)です。「常磐津(ときわず)」と「長唄(ながうた)」の掛け合いです。常磐津も長唄も三味線音楽の種類です。ビギナーのわたしも違いは詳しくわからないのですが、

 「常磐津は、シリアスな歌舞伎舞踊劇の伴奏音楽の領域に力を発揮し、三味線は中棹を使う(http://www.geidankyo.or.jp/12kaden/entertainments/tokiwazubushi.html)」

 「長唄は、複数の三味線と唄に、笛・大小鼓・太鼓その他の囃子の鳴物(なりもの)が加わって、にぎやかに舞台を演出。三味線は細棹を使う」(http://www.geidankyo.or.jp/12kaden/entertainments/nagauta.html

とのことです(芸団協のサイトから引用しました)。常磐津が「重厚」で長唄が「軽快」とビギナーのわたしは理解しました。

 たしかに、この掛け合いが全体のアクセントとなり、飽きることなく楽しめました。

 さて、配役は、巳之助、新悟、梅丸、種之助、歌昇。みなさん若手なのですが侮る事勿れ、立派に演じており楽しませていただきました。「京人形」と書かれたハコから出てくる演出など、とても面白くわかりやすいですよね。

 みなさま、今年も楽しい新春浅草歌舞伎をありがとうございました。今年を見逃した方は、是非来年に浅草に行っていただきたく思います。

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