仁左衛門がカーテンコールに応えた!「四月大歌舞伎(2018)」(夜の部)オススメ度の星評価!


 好評の歌舞伎初心者向け、オススメ度の星評価表!!現在、東京・歌舞伎座で公演中の「四月月大歌舞伎」(夜の部)の初心者向けのオススメ度表です。★が多いほど必見です。満点は★★★★★。公演会場での「盛り上がり度」、「眠っている人度」、「口コミ度」などを総合的に判断しました。★:オススメ、☆:イマイチ

<夜の部>
文句なしの五つ星です!
★★★★★通し狂言 絵本合法衢 序幕(4:45-5:27)
★★★★★通し狂言 絵本合法衢 二幕目(5:37-6:33)
★★★★★通し狂言 絵本合法衢 三幕目(7:03-7:43)
★★★★★通し狂言 絵本合法衢 大詰7:58-8:28




【総評】
・総合点★★★★★★
 四月大歌舞伎夜の部のビギナー向けの星評価はもちろん満点の五つ星です。このお芝居は仇討ちのお芝居です。荒事(あらごと)のような派手な化粧や見得、立ち回りなど、一般にイメージする「ザ・歌舞伎」とは違うかもしれませんが、ストーリーも難しいことはなく、ビギナーも楽しめると思います。

 とにかく驚くのが主役の片岡仁左衛門の演技力です。御年74歳とは思えないその表現力。色悪(いろあく)とよばれる悪役は、当代一と言えるでしょう。ビギナーとしては、普通の時代劇のような展開に「これも歌舞伎?」と戸惑うかもしれませんが、すぐにのめり込み夢中になるでしょう。

 仁左衛門はこの演目を得意演目として長く演じてきましたが、この公演を最後に仁左衛門の絵本合邦辻は終了とのことです。どうしても観ることができなかった方、シネマ歌舞伎に向けた撮影もあったとのことですので、スクリーンで楽しみましょう。

 舞台は幕が開くといきなり人が斬られる場面からスタートします。これを皮切りに人がどんどん殺されるのです。かわいい子供までも斬り捨ててしまうのですから、ほんとにすごい悪役です。大学之助と太平次の二人とも悪役で途中で混乱するかもしれませんが、ふたりとも悪役で、最後に斬られて仇討ち完了しますので、すっきりして芝居を見終わることができると思いますよ。

 配役は仁左衛門が大学之助と太平次の二役を演じます。その二役ともが大の悪人。ほか、時蔵のうんざりお松、孝太郎のお亀など、豪華な配役です。時蔵のうんざりお松も素晴らしい。悪女のねっとりした感じがこちらにも伝わってくるのです。ビギナーのわたしは大阪出張のときの2015年大阪松竹座でのこのお芝居を観る機会に恵まれましたが、このうんざりお松をみて時蔵さんのファンになったほどです。

 二幕目の最後には、伝家の秘宝である香炉を奪いあう「だんまり」の場面があります。いや、このだんまりはほんとうに不思議な感じで、新鮮さを味わえると思います。こんな表現手法を江戸時代に編み出していた、と感心するばかりです。
 
 さて、ビギナーのわたしは、どうしても仁左衛門最後の絵本合邦辻をこの目で観たくて、会社を早退して千秋楽の最後の幕見席(三幕目と大詰め)を観にいきました。圧倒的な演技力は千秋楽でも楽しめることができて、感動でした。そして、お芝居最後に仇討ちされて斬り殺されたのち、舞台に向かって正座して挨拶する「切り口上」で幕がしまった後、万雷の拍手が止むことがありません。

 そうして5分ぐらいずっと万雷の拍手が鳴り続いた後でしょうか。なんと幕が開いて、仁左衛門がカーテンコールに応えたのです。仁左衛門がカーテンコールに応えることはまずないとのことで、周囲の人もみんな声を上げて驚いていました。舞台上の仁左衛門は体をねじって会場をひろく見回して、そして手を合わせて感謝の意を表していました。感動しました。歴史的な瞬間を観ることができて、とても貴重な体験でした。このカーテンコールの様子については、孝太郎さんのブログに動画が投稿されているようです。みなさん、チェックしてみてください。



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