弁天小僧は初心者必見!「五月大歌舞伎(2018)」(夜の部)オススメ度の星評価!


 好評の歌舞伎初心者向け、オススメ度の星評価表!!現在、東京・歌舞伎座で公演中の「團菊祭五月大歌舞伎」(夜の部)の初心者向けのオススメ度表です。★が多いほど必見です。満点は★★★★★。公演会場での「盛り上がり度」、「眠っている人度」、「口コミ度」などを総合的に判断しました。★:オススメ、☆:イマイチ

<夜の部>
★★★★★(1)弁天娘女男白浪 序幕(4:30-5:45)
★★★★★(2)弁天娘女男白浪 二幕目(5:55-6:12)
★★☆☆☆(3)鬼一法眼三略巻 菊畑(6:42-7:46)
★★★☆☆(4)六歌仙容彩 喜撰(8:01-8:32)




【総評】
・総合点★★★★☆
 團菊祭五月大歌舞伎・夜の部のビギナー向けの星評価は、四つ星です。一幕目「弁天娘女男白浪」(べんてんむすめめおのしらなみ)は、ビギナー必見です。この演目は幕見席でも観ましょう。有名なセリフや場面はありますが、とにかく楽しいですから。二幕目の菊畑は、ちょっとビギナーにはハードルが高い気がしました。最後の「喜撰(きせん)」は美しいですね。夜の部をしっとりと終わらせてくれるよい演目でしょう。





<5月4日(金祝)の観劇記録です>
★★★★★(1)弁天娘女男白浪 序幕(4:30-5:45)
★★★★★(2)弁天娘女男白浪 二幕目(5:55-6:12)
 夜の部一幕目は「弁天娘女男白浪」(べんてんむすめめおのしらなみ)。とても有名な演目で、かつ、歴代菊五郎のお家芸とも言われるお芝居です。菊五郎が弁天小僧を演じるのはなかなかありませんので、ビギナーは見逃してはいけません。ストーリーも複雑ではなく、気軽に楽しめる演目です。そして日本文化に広く多方面に影響を与えている演目とも言われています。ちょっと古い世代ですと、いわゆる子供向けの戦隊モノの原型(ゴレンジャー)とも言われていますよね。といいますか、難しいこと抜きに、とにかく楽しめるお芝居です。

 見どころは、すべてと言えるでしょう。女に仮装していた弁天小僧が見破られて男に戻る場面でのこっけいなやりとり、「知らざあ言ってきかせやしょう」という歌舞伎の超超有名なセリフ、5人の悪者が並んでひとりひとりセリフを言っていく場面、花道でのわたりセリフなどなど、枚挙にいとまはありません。

 配役は、菊五郎が主役の弁天小僧、菊之助は赤星十三郎、松緑が利平、海老蔵が日本駄右衛門、左團次が幸兵衛という豪華な顔ぶれです。印象的なのは海老蔵が宗十郎頭巾(そうじゅうろうずきん)姿で日本駄右衛門を演じ、しっかりと主役をもり立てていることです。最近ですと、2016年1月の新橋演舞場での「初春花形歌舞伎」では、海老蔵が弁天小僧を演じていました。この演目を観ているビギナーとしては、海老蔵の弁天小僧ももう一度観たみたい気がしました。




 しかし、菊五郎、痩せましたね。この役のために炭水化物ダイエットをしたらしいです。これまでのたっぷりしたおなかが引き締まり、すばらしい弁天小僧ぶりでした。また、五人組のなかで左團次がよかった。ベテランが引き締める感じで、安定感が増す感じがしました。みなさま、楽しいお芝居をありがとうございました。

 そして、最後の幕の極楽寺屋根の場です。屋根の上で菊五郎が大立ち回りを繰り広げます。狭い場所で演じられる大立ち回りは観ていて楽しいでしょう。というかハラハラしました。なんといっても、屋根がタテに回転して舞台が変化するのは、驚きの瞬間です。知り合いの外国人は、「この場面はありえない。たてに回転する発想自体がありえない。日本に来たら絶対に観たい」と熱く語っていました。ぜひ、みなさんも感激してください。

 最後には日本駄右衛門こと海老蔵がせり上がってきて、そして梅玉が横からスライドして登場して幕です。とにかく楽しい。書いているうちのもう一度観たくなりました。平日の幕見でしたら、まだ余裕があるようですね。ぜひみなさんも幕見に挑戦ください。

 このような楽しい場面の一方、ビギナーとして感心した場面があります。それは、呉服屋に番頭たちがぞろそろやってくる場面で、全員が店にはいるときに足袋についた土を手ぬぐいでとんとんと払って上がっていくのです。日本文化の素晴らしさというか、小気味よいダンスのような感じで、この場面が印象的でもありました。




★★☆☆☆(3)鬼一法眼三略巻 菊畑(6:42-7:46)
 松緑が主役の菊畑です。これこそ、いわゆる歌舞伎です。舞台に変化がなく、ストーリーも若干入り込んでいるため、ビギナーにはかなりハードルが高い印象です。前の幕が賑やかだったために、ここで休息をしているかたも多数観られました。ビギナーのわたしも、すみません、記憶がない状態が長いので、幕見でもう一度確認しようとおもっております。

 一点、印象的だったのは、いつもは女形の時蔵が立役、つまり男性を演じている点です。時蔵の演じる牛若丸、ちょっと弱々しいけどいい男、という感じでとても好感がもてました。さすが、名俳優さんです。ありがとうございました。





★★★☆☆(4)六歌仙容彩 喜撰(8:01-8:32)
 そして、最後は「六歌仙容彩」という舞踊ものです。「ろっかせんすがたのいろどり」と読みまして、喜撰は「きせん」と読みます。菊之助がお坊さん、時蔵がお梶役のしっとりとした演目です。一日のお芝居の最後が舞踊モノで終了するのって、とてもよいですね。祭りの後の余韻にひたる感覚で、とても幸せな気分になれると思います。

 この演目は長唄(7丁7枚)と清元(3丁4枚)の掛け合い。2種類の和楽が交互に演奏されます。ビギナーとしては、2種類といわれても同じに聞こえるのですが…、それは仕方ないと開き直りましょう。ちょっと弱々しいのと元気がよいのの違いくらいしかわかりません。この違いがわかるとより理解度に深みがでるのでしょうね。しっかり勉強したいと思います。

 とても印象的だったのが、坊主役の菊之助。頭が青いだけでなく、ひげの部分の青い!可愛く愛嬌のあるお坊さんを演じています。そして、坊さんは総勢17名がでてきます。赤い前掛けを小道具に、しとやかに踊ります。複雑な踊りをいったいどういう順番で覚えているのか、いつも感心します。そのあたりを考えているうちに幕となりました。楽しい舞踊ありがとうございました。舞踊モノの代表作ですのでビギナーはぜひチェックしましょう。

▼昼の部の報告はこちら

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