右團次に注目!11月歌舞伎公演(国立劇場)「通し狂言 名高大岡越前裁」初心者向けオススメ度の星評価!


 好評の歌舞伎初心者向け、オススメ度の星評価表!!現在東京・国立劇場で公演されている「通し狂言 名高大岡越前裁」の初心者向けのオススメ度表です。★が多いほど必見です。満点は★★★★★。公演会場での「盛り上がり度」、「眠っている人度」、「口コミ度」などを総合的に判断しました。★:オススメ、☆:イマイチ

★★★☆☆(1)通し狂言 名高大岡越前裁(なもたかし・おおおかさばき)
 国立劇場の11月歌舞伎は、歌舞伎というよりも時代劇、という感じでしょうか。一昔前に流行った「大岡越前(おおおかえちぜん)」の物語です。いわゆる「歌舞伎」を期待している方にはちょっと違うかもしれません。ビギナーとして観るべきかどうかという視点からすると三つ星としました。標準点。とてもわかりやすい内容なので、予習なしでも理解可能でしょう。これも歌舞伎というのを実感できるとも言えます。

 このお芝居は有名な脚本家の河竹黙阿弥(かわたけ・もくあみ)の作品ということで、歌舞伎らしいエキスがギュッとつまっています。たとえば、七五調のセリフやわたり台詞など。また、一幕もすべて1時間未満ととても短いですので、聞くことなくゆったりと観劇することができるでしょう。歌舞伎の懐の広さを感じられるお芝居であるとともに、歌舞伎座に比べるとかなりリーゾナブル(3等席は1800円)に観られますので、ぜひ国立劇場に足を運んで頂きたいと思います。





<11月3日初日の観劇記録です>
【詳細講評】
・総合点★★★☆☆
 今回の主役は、「大岡裁き」を披露する大岡越前を演じる梅玉ではありますが、陰の主役、いや、真の主役は市川右團次でしょう。右團次さん、一昔前は市川右近でしたが、現在は右團次を襲名しています。海老蔵が後ろ盾となって彼を引き立てている、などと書いている書籍もありますね。そんな話をさしおいても、顔が大きく舞台映えするマスク、声量があってかつセリフが聞きやすい声。とても良い役者さんであることを認識できると思います。そして、さらに舞台を引き締めているのが彌十郎です。彌十郎は今回は悪玉の方を担ぐ役ですが、とても役柄にはまっています。もともと強面(こわおもて)ですから、というのもありますけど、まさにはまり役。熱演しておりました。

 舞台は雪の場面から始まります。雪太鼓のもの悲しい響きとともに、歌女之丞がおばあさんである「お三」を演じています。そして花道から右團次演じる方沢(ほうたく)が登場、おばあさんと優しい方沢のやりとりが始まります。イヤホンガイドによると右團次演じる方沢は、17歳という設定とのこと。右團次のいきなりの少年役に、会場からはちょっとしたやさしい笑いが起きていました。

と、ほのぼのしたお芝居なのかと思いきや、いろりでお三が方沢に殺される場面からストーリーは急展開します。このあたりからめまぐるしく話が移り変わって行きますので、寝る暇もなく楽しめることでしょう。主役の梅玉演じる大岡越前守(おおおかえちぜんのかみ)が登場するのは、三幕目です。それまでは話の前振りなのかもしれませんね。




悪巧みを企てる方沢をいかにこれしめるか、いかに思い知らせるかという緊張感が続きます。しかし、ビギナーのわたしが油断して一旦記憶がない場面がありました。それは、彌十郎演じる伊賀亮(いがのすけ)が、大岡越前守に向かって反論する場面です。彌十郎が長いセリフをスラスラと見事に話し続けるのを聴きながら、うとうとしてしまいました。しかし、ここがこのお芝居の見どころの一つであることは間違いないですので、みなさん、覚悟して目を見開いて、彌十郎の熱演をご覧頂きたく思います。

舞台として印象的だったのは、最後の浅葱幕が開いた後の場面です。大家越前守、その妻、息子が切腹の用意をするのですが、明るい舞台の中に白装束の3人が居並ぶ姿は美しいものです。日本的な美を感じることができると思います。息子役の右近ちゃんが、かわいいこと。ぷっくりしたほっぺとつぶらなまなこ。一方で初日にもかかわらずセリフきびきび話していました。あっぱれです。

 そして最後はお決まりの「これにて一件落着」。この言葉で幕となります。大岡越前守が白州前の階段できれいにポーズを決めていました。すばらしい見得でした。国立劇場の歌舞伎らしい、しぶい演目でした。みなさま、素晴らしいお芝居をありがとうございました。





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