吉右衛門が空中に!12月歌舞伎(国立劇場)「増補双級巴-石川五右衛門」初心者向けオススメ度の星評価!


 好評の歌舞伎初心者向け、オススメ度の星評価表!!現在東京・国立劇場で公演されている「増補双級巴-石川五右衛門」の初心者向けのオススメ度表です。★が多いほど必見です。満点は★★★★★。公演会場での「盛り上がり度」、「眠っている人度」、「口コミ度」などを総合的に判断しました。★:オススメ、☆:イマイチ

★★★★☆(1)増補双級巴-石川五右衛門 (ぞうほふたつどもえ-いしかわごえもん)
【総評】
 平成最後の年末の国立劇場歌舞伎は、豪華な役者陣の贅沢なお芝居です。主役が石川五右衛門でかつ、内容もわかりやすいので、ビギナーも楽しめますので、四つ星としました。平成歌舞伎を代表するであろう、バラエティーのとんだ内容で、中村吉右衛門のピークのお芝居と言えるのかもしれません。吉右衛門の活躍を国立劇場大劇場で要チェックです!

 日本人なら誰でも知っている(と、イヤホンガイドでも言っていました)石川五右衛門の出生から最後までを、幅広くとりあげた物語です。ストーリー展開も早く、飽きることはないと思います。一方、通し狂言なので仕方のないことですが、さまざまな要素を盛り込みすぎで、ビギナーにはちょっと消化しきれない、という印象も拭えません。まあそうは言っても深く考えないで楽しめて、年末のにぎやかな雰囲気を味わえる舞台ですので、みなさんもどうぞ劇場の足をお運びください。ただ、これも幕見席があるとよいですよね。ビギナーの私としては、二幕目、三幕目だけはもう一度観てみたいと思いました。国立劇場さん、ご検討よろしくお願いします!




<12月9日の鑑賞記録です>
★★★★☆(1)増補双級巴-石川五右衛門
【詳細】
 舞台は「芥川の場」という発端から始まります。薄暗い舞台の中で、花道から奥女中役の京妙が登場することでお芝居ははじまります。そうして、百姓次左衛門を演じる歌六が登場し、奥女中を刺すという短い幕ですが、これからの物語を暗示するような展開です。これからはめまぐるしくストーリーが展開します。ちょっと息を抜くとわからなくなりますので、注意深く進行を追うようにいたしましょう。

 このお芝居の見どころはたくさんあります。第一の見どころは、もちろん、吉右衛門が葛籠(つづら)から飛び出して空中に飛びだす宙乗りです。ちなみに、葛籠(つづら)とは、衣服を入れる網籠のこと。葛籠といっしょに宙乗りする場面に、会場からは驚きの声が上がっていました。そして、ストーリーとしての驚きは、これらのシーンは、石川五右衛門の夢だった、というところも新鮮です。

 ほか、印象的だったのは、五右衛門が役人を殺して、その役人の服を着て堂々とふるまう出で立ちも、吉右衛門が好演しておりました。その際に、葛籠がふわふら浮いて飛んでいく、というのも目に楽し演出です。

 「居どころ変わり」といって、幕が開いたままに舞台が回転して違う場面に変更される場面も何カ所か合って、歌舞伎の醍醐味を味わうことができるでしょう。ほか、一面金箔の障子の間となる舞台も圧巻です。そして、大詰めの鳥居前の立ち廻りで幕となります。

 ストーリーはわかりやすいですので、ビギナーも肩肘張らずに楽しめることでしょう。石川五右衛門の出生から最後の「釜ゆで」までの物語ですから。ただ、途中の「桜門五三桐」のパロディーあたりでビギナーはちょっと混乱するかもしれませんね。しかし、ちょうど十一月の歌舞伎座での吉例顔見世大歌舞伎で、正真正銘の五三桐を演じていましたので、タイムリーですよね。



 
 

スポンサーリンク

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

スポンサーリンク