正月らしく贅沢で楽しいお芝居!平成31年初春歌舞伎公演「通し狂言 姫路城音菊礎石」初心者向けオススメ度の星評価!


 好評の歌舞伎初心者向け、オススメ度の星評価表!!現在東京・国立劇場で公演されている「姫路城音菊礎石」の初心者向けのオススメ度表です。★が多いほど必見です。満点は★★★★★。公演会場での「盛り上がり度」、「眠っている人度」、「口コミ度」などを総合的に判断しました。★:オススメ、☆:イマイチ

★★★★☆姫路城音菊礎石(ひめじじょうおとにきくそのいしずえ) 五幕九場
【総評】
 平成最後の正月の国立劇場歌舞伎は、「姫路城音菊礎石(ひめじじょうおとにきくそのいしずえ) 」。新橋演舞場では、海老蔵一家が勢揃いしての初春歌舞伎公演が開催されていますが、こちらは、菊五郎一家総出という様相です。菊五郎、菊之助、寺嶋和史(菊之助の息子)、寺嶋眞秀(まほろ)(寺島しのぶの息子)と、こちらも豪華な顔ぶれです。劇場入り口では、菊五郎の奥さん富司純子さん、その娘の寺島しのぶさんが素敵な着物姿でお客様に挨拶をしていました。

 ストーリーもわかりやすく、だいたいのあらすじだけ把握しておくだけで楽しめますので、ビギナー向けです。難しく考えることな楽しめますので四つ星としました。並木五瓶(なみきごへい)という有名な歌舞伎脚本家の作品『袖簿播州廻(そでにっきばんしゅうめぐり)』の別名作品です。「最近の国立劇場は題名を変えたがる」と1月8日の朝日新聞夕刊の劇評(早稲田大教授・児玉竜一)にものっていましたが、ビギナーとしてもオリジナル重視でお願いしたいところです。しかし、このお芝居はお歌舞伎の楽しさ、エキスが詰まってわかりやすく演出された仕上がりとなっていますので、ビギナーのみなさんも国立劇場に足を運びましょう。





<1月14日の鑑賞記録です>
★★★★☆姫路城音菊礎石(ひめじじょうおとにきくそのいしずえ) 五幕九場
【詳細】
 ストーリーのメインは、姫路城の城主、桃井家(もものいけ)が、印南大膳(いんなみだいぜん)の企みで乗っ取られたが、家臣らの努力で復興する、という話が軸となります。これだけだとシンプルに思うかもしれませんが、これを主筋として広く話が展開するので、目が離せません。ストーリーの展開も早いので、ビギナーも眠ることはないでしょう。そして最後はハッピーエンドで終了という、とても正月らしいめでたいお話です。

 とにかくいろいろと工夫がこらされた内容で、ある意味感動しました。だって、幕があくと、なんと昨年末の紅白歌合戦でも話題になったDA PUMPの「U.S.A.」の踊りから始まるのですから! この時点で会場は大盛り上がりで、舞台と会場の距離が一気に縮まりました。となりの妙齢の女性は、「キャッキャキャッキャ」と楽しそうに笑っていましたので、こちらもとても楽しくなりました

 序幕は、これから進行する物語のさまざまな「芽」がまかれるような構成で、どんどんと展開します。ここでつまづくと最後までお芝居を楽しめませんので、やはりビギナーはしっかりと予習をしておきましょう。劇場のチラシに書かれている登場人物名と役者をひもづけておくだけでかなり違いますので、念入りに読み返しておきましょう。

 そして第二幕は、菊之助がなんと1階の観客席から登場。会場からはどよめきが起きていました。また、この二幕は、舞台は薄暗い姫路城という設定なのですが、長唄連中がいつもの緋毛氈の台の上ではなく、なんと城壁の中で演奏しているのです。それも城壁の薄い幕の中で演奏されるという趣向で、長唄連中が壁の中に溶け込んでいる!とても神秘的な雰囲気を醸し出していました。国立劇場の大道具さん&小道具さん、やるじゃないですか!

 ところで序幕では、いまの歌舞伎界を代表する女方の時蔵が侍姿の立役で登場したのも驚きました。いや、さすが名役者、立役もきりりとして格好いいです。しかし後ほどからは、「礎の前」役として女方ででてきて、ちょっとほっとしました。ほか、松緑は主水(もんど)役なのですが、実直な人柄と役がぴったりまっち。序幕で驚いたときに「ダーッ」と叫ぶのですが、あまりにもぴったりなので感心しました。今回は配役も冴えているお芝居と感じられました。

 キツネが登場する幕では、さあ、寺嶋和史(菊之助の息子)、寺嶋眞秀(まほろ)(寺島しのぶの息子)の登場です。会場はあたたかい声援で盛り上がりました。和史くんはちょっとお疲れのようで、声に元気がありませんでしたね。まほろくんの元気な声がそれをカバーしておりましたので、よしとしましょう。

 このお芝居のみどころのひとつは、松緑のキツネ姿での立ち廻りです。若者衆が、大鳥居とキツネを形取った陣形をつくるところは、とても楽しめることでしょう。菊之助もキツネの役となって登場もします。そして、立ち廻りの最中に、みんなで大縄飛びを始めるシーンになると、舞台はもう「運動会」状態。振り回される縄の中にどんどんと役者が入っていきますが、いつひっかかるのかと誰しもがドキドキ状態に。そして、最後には橘太郎が加わって縄にひっかかり縄跳びが中断するという、いわばダチョウ倶楽部の上島にあたるボケを担当、会場からは歓声と暖かい笑いが起こっていました。

 そして最後には、正月歌舞伎恒例の手ぬぐいまき。下手から、松緑、萬次郎、亀蔵、時蔵、菊五郎、和史、尾上右近、梅枝、亀三郎、菊之助が勢揃いし、手ぬぐいを配布していました。正月はやはり1、2階席で観劇したほうがよいですね。みなさま、楽しいお芝居、ありがとうございました。




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