呂太夫に「たっぷり」!「国立劇場2月文楽公演(2019)」(第二部)初心者向けオススメ度の星評価!


 好評の文楽初心者向け、オススメ度の星評価表!!現在東京・国立劇場小劇場で公演されている「2月文楽公演」(第二部)の初心者向けのオススメ度表です。★が多いほど必見です。満点は★★★★★。公演会場での「盛り上がり度」、「眠っている人度」、「口コミ度」などを総合的に判断しました。★:オススメ、☆:イマイチ

<第二部>
★★★★☆(1)大経師昔暦(14:30-17:23)
 平成31年国立劇場文楽第二部は、近松門左衛門の作品「大経師昔暦(だいきょうじむかしごよみ)」です。この作品は心中ものではなく、姦通罪を扱った作品となります。テーマも重たいですし、結末も重たい。「え、こんな結末で終わってしまうの?」とストレスがたまること間違いないのですが、これも近松門左衛門のなせる技。文楽初心者は、ぜひこの不条理な近松作品を味わうべき、ということで四つ星です。

 そもそもタイトルが難しいですよね。「大経師(だいきょうじ)」。これは、大経師さんという、江戸時代に暦を売って生業としていた商家が舞台となっていますので、このようなタイトルになっています。この作品は「恋八卦柱暦(こいはっけはしらごよみ)」と改題されたこともあるとのことです。

 ストーリーは、大経師宅の主人である以春(いしゅん)の奥さん、「おさん」と手代の「茂兵衛」がふとした間違いにより男女の関係となってしまい、その仲立ちたってなんとか助けようとした下女の「玉」がこれにからむという、この3人の人間模様を軸として物語が展開していきます。

 最後はかなり悲惨な結末です。あまりにも哀しい終わり方で会場全体が絶句、という感じでどんよりとした空気が流れていました。最後に玉はおじの梅龍の手にかかり、生首となって登場するのですが、「梅龍、いったいなんてことしてくれたんだ!」という聞こえない叫びが会場のあちこちから聞こえてくるようでした。この不条理は、どうにもならないというじれったい感じは、さすがに近松門左衛門作品です。曽根崎心中の九兵衛のいじわるに通じる、自然と組み込まれてしまったなにか避けられない哀しさ、流れ、不条理さを味わえると思います。くわしいストーリーはぜひ会場で実感していただきたいと思います。

 イヤホンガイドでは、みどころにひとつは「大経師の段」の幕切れとのことです。この段切りでは、音楽がなくさーっと幕が引かれて幕がしまる、というところが見どころとのことですが、なんだかよくわかりませんでした。そうか、いつもは拍子木とともに幕が引かれるけど、その拍子木がたしかになかったような気もしますね。勉強します。

 そして、この「大経師内の段」の後半パートにあたる「奥」の儀太夫は竹本文字久太夫が担当しますが、この公演をもって改名するので、このお芝居が見納めということを言っていましたよ。 「豊竹藤太夫」(とよたけとうだゆう) とがらりとかわるそうです。注目しましょう。

 そして「岡崎村梅龍内の段」の「奥」では、豊竹呂太夫の登場です。会場からは「まってました」「たっぷり」というかけ声がかかっていました。この文楽の大向こうさんのようなかけ声、歌舞伎と比べて控えめな感じがけっこうよいですよね。「たっぷり」もなんだか親しみが持てます。

 しかし、この「岡崎村梅龍内の段」は結構ながい。眠っている人が多数いました。みなさんもしっかり予習して眠らないようにしましょう。みなさま、ありがとうございました。



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