講談社現代新書「歌舞伎 家と血と藝」(中川右介)を読みました。新書としてはかなり厚い本で、歌舞伎ビギナーとしては躊躇しましたが、怖いもの見たさで読みました。
うーん。この本は賛否両論分かれる気がします。歌舞伎を家系という視点から深く掘り下げた本で、歌舞伎の愉しみ、愉しみ方という芸術面にはほとんどふれていない書籍なのです。言うなれば、歌舞伎を大きな「日本歌舞伎会社」にたとえて、そのなかの各部(お家)、各地方支社(大阪、京都)の人事を創業時から詳細に説明した本と言えるでしょう。そのため、人事好きのサラリーマン向けの書籍かもしれません。
言い換えると歌舞伎はそういうサラリーマン的な視点からも愉しめるということですが、そういう点だと、成毛眞さん著書の「ビジネスマンへの歌舞伎案内」 (NHK出版新書)のほうが数倍良書のような気がしました。「歌舞伎をそんな風にとらえなくても?」「いま活躍している歌舞伎役者の過去を暴いてどうする?」という声が聞こえる気がします。もうすこし芸術面、歌舞伎がどのように人気を得ていったのかという話も知りたいところでした。
いずれにせよ、歌舞伎の家系について「あの役者さんの祖父はだれ?」など興味を持った人はぜひお読みください。ちなみに、ビギナーの私は、梅玉、魁春が中村歌右衛門の養子ということ、市村羽左衛門という役者がいた、ということを知ることができました。
仏果を得ず (双葉文庫) 文庫
海老蔵を見る、歌舞伎を見る 単行本
歌舞伎 家と血と藝 (講談社現代新書 2221)
玉三郎 勘三郎 海老蔵 平成歌舞伎三十年史 (文春新書 1234)
知らざあ言って聞かせやしょう: 心に響く歌舞伎の名せりふ (新潮新書 24)