国立劇場「7月歌舞伎鑑賞教室」初心者向けオススメ度の星評価!


  好評の歌舞伎初心者向け、オススメ度の星評価表!!東京・国立劇場大劇場で公演中の「第九二回歌舞伎鑑賞教室」の初心者向けのオススメ度表です。★が多いほど必見です。満点は★★★★★。
公演会場での「盛り上がり度」、「眠っている人度」、「口コミ度」などを総合的に判断しました。
★:オススメ、☆:イマイチ

★★★★★(1)解説 歌舞伎のみかた
★★★★☆(2)鬼一法眼三略巻「一條大蔵譚」(きいちほうげんさんりゃくのまき・いちちょうおおくらものがたり)




【総評】
・総合点★★★★☆
 もちろん初心者は必見ですが、今回は四つ星としました。解説は坂東亀蔵さん。歌舞伎座團菊祭で亀寿から亀蔵に襲名披露した亀蔵さんです。そして「一條大蔵譚」は、尾上菊之助さんが主役。熱演していました。今回の演目は内容が簡単ではなく、ビギナーにはちょっとハードルが高いような気がしました。がしかし、そういうところも歌舞伎ですから、ある意味「歌舞伎っぽい演目」とも言えるかもしれません。

 この公演は、6月と同様に筋書きも無料で配布されますので、とても親切。薄い冊子ですが、解説や物語の内容、配役や役者さんのインタビューなど十分な内容で、とてもありがたいです。今回は「源平モノ」のため、「源氏と平氏」という特集で詳しく説明してくれています。

<7月8日の第二部の観劇結果です>
★★★★★(1)解説 歌舞伎のみかた
 坂東亀蔵さんが舞台で歌舞伎の基本をいろいろと説明してくれます。舞台の上手、下手、ツケなどなど、ビギナーとしては歌舞伎のおさらいになります。丁寧に説明する亀蔵さん、実直な人柄がうかがえてとても好感がもてました。ありがとうございました。
 この日は小学生向けの歌舞伎体験教室の日でもあったので、たくさんの小学生がいました。かれらがとくに喜んだのは、「トラ」が出現したときです。「あれって中に人がいるんだよね?」という声も聞こえたりして。演技が終わったとき、トラが一礼して普通に去っていくのがとても新鮮でした。



★★★★☆(2)鬼一法眼三略巻・一條大蔵譚
 尾上菊之助さんが一條大蔵卿を演じる、一條大蔵譚です。
 いやあ、驚いた。最初に舞台にでてきたとき、中村吉右衛門さんにしか見えませんでしたから。「岳父の教えを守り・・・」と筋書きにも書いていますが、まさにそっくり。ビギナーのわたしは、2016年9月秀山祭昼の部で中村吉右衛門さん演じる一條大蔵卿を観たことがありましたが、そのときの吉右衛門さんと瓜二つだったので驚きました。また、その阿呆ぶりもとても面白く、近くにいる小学生が楽しそうに笑っているのが印象的でした。お疲れ様でした。

 ストーリーはちょっと複雑。源平モノはどちらが源氏方でどちらが平家方かをわかっていないとよくわからなくなってしまいます。おまけに、今は平家方だけど、実は源氏方で源氏を応援している、などなど、頭が混乱してしまいます。大人でもよくわからなくなりますから、いわんや小学生をや。となりの小学生は、途中からうたた寝をしていました。途中でトラが出てくるとよかったのですが。

 菊之助さんのほか、尾上右近さん、中村梅枝さん、解説してくれていた坂東亀蔵さん、そのお兄さんの坂東彦三郎(元亀三郎)さんと、安定した配役でした。一点贅沢をいうと、より年配のベテランさんがいるとより引き締まったのでは、とも思いました。魁春さん、梅玉さん、などなど。いずれにせよ、歌舞伎の醍醐味を楽しめる舞台となっていました。

<番外編>
 本日の第二部は、歌舞伎公演が終了後、小学生のための歌舞伎教室ということで、小学生が大劇場の舞台にあがって各種説明を受けることができるという特別な日でした。大勢の小学生が舞台に上がった後、なんと、さきほどまで演技をしていた尾上菊之助さんが登場して、小学生にお話をするではありませんか! さきほどの熱演から一変しての和服姿の涼やかな、想像通りの菊之助さんでした。菊之助さんがそのときに話したお話が印象的でした。一部紹介させてください。

 「みんな今日の歌舞伎はどうだった?面白かった?ちょっと難しかったかもしれないね。でも、それも歌舞伎。一回観ただけだとわからないかもしれないけど、何回も観るとどんどんわかってくる。演じてるほうもそうなんだよ。それも歌舞伎のよいところですからね」

 いや確かに。この演目「一條大蔵譚」は単純な話ではないのですが、この言葉をきいてもう一度しっかり観たくなりました。みなさん、きちんと人間関係を把握して、予習して臨んでください。

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