一幕見席に余裕あり! 「秀山祭九月大歌舞伎」(夜の部)オススメ度の星評価!

 好評の歌舞伎初心者向け、オススメ度の星評価表!!現在、東京・歌舞伎座で公演中の「秀山祭九月大歌舞伎」(夜の部)の初心者向けのオススメ度表です。★が多いほど必見です。満点は★★★★★。
公演会場での「盛り上がり度」、「眠っている人度」、「口コミ度」などを総合的に判断しました。
★:オススメ、☆:イマイチ

<夜の部>
★★★☆☆(1)ひらかな盛衰記 逆櫓(4:30-6:11)
★★★★☆(2)再桜遇清水 序幕(6:41-7:58)
★★★★☆(3)再桜遇清水 二幕目・大詰(8:08-9:02)




【総評】
・総合点★★★☆
 総合点でビギナーにとって、昼の部と同じ三つ星。眠たくなる演目もありますが、奥深い演目も多いです。さらに今月の秀山祭九月大歌舞伎は一幕見席に余裕があります。夜の部の第三部は19:00チケット売り出しですので、会社帰りにもよれます。最後の一幕は、だんまりもありますので、歌舞伎の醍醐味を楽しめます。ぜひ挑戦してください。ビギナーの私も挑戦しました。






<9月3日の観劇結果です>
<夜の部>
★★★☆☆(1)ひらかな盛衰記 逆櫓(ひらかなせいすいき さかろ)
 時代物の名作です。イヤホンガイドによると、「数ある歌舞伎の演目中でも、ひらがなの演目はこれぐらいだ」というようなことを言っていました。ビギナーとしてはぜひ一度は見ておきたい演目です。

 人間関係とストーリーはちょっと複雑です(涙)。松右衛門に身をやつしていた樋口がでてきたり、最初は子供の取り違えで植松として育て息子が実は駒若丸だったと、「実は」が続いて混乱します。人間関係をしっかりと予習しておきましょう。配役は、主役の吉右衛門さんが松右衛門を、雀右衛門さんがお筆を演じています。安定した布陣です。

 ビギナーとしてはかけ声のセリフが面白かった。「ごんせ、ごんせ」、「やっしっしー、やっしっしー」などなど。不思議なかけ声がでてきますので注意して聞いてみてください。あと面白かったのは、とっても驚くときの演技。権四郎役の歌六さんや、およし役の東蔵さんが驚くのですが、その驚きぶりが大げさで、にやっとしてしまいました。

 また、これにお筆役の雀右衛門さんも加わって、3人で長いセリフのやりとりがありますが、ここがとても眠かった。遠くからは大きないびきも聞こえてきました。しかし、セリフのやりとりを聞いていると、なかなか面白い。1739年(元文4年)の人形浄瑠璃がルーツとのことですが、約270年前の会話なのに、現代にも通じる会話に、歴史の不思議さ、歌舞伎の奥深さを感じることができると思います。ぜひ、がんばって眠らずに聞いてみてください。

 最後の立ち回りは、額から血を流した樋口こと吉右衛門さんが櫓、オールをもって活躍するのですが、大きな碇(いかり)に結ばれた太い縄が出てくるのは、義経千本桜の渡海屋にそっくり。と思ったら、こちらがそのルーツです、というようなことをイヤホンガイドで説明していました。イヤホンガイドもためになりました。ありがとうございました。





★★★☆☆(2)再桜遇清水 序幕(さいかいざくらみそめのきよみず)
 「さいかいざくらみそめのきよみず」と読みます。「清玄桜姫物」(せいげんさくらひめもの)という歌舞伎作品のひとつとのことです。1985年に新しい脚本が作られた演目のため、とてもわかりやすいお芝居です。

 この演目、一言で言うと「桜姫というヒロインを巡る、軽快なコメディー(特に序幕)」という印象でした。ジム・キャリー、キャメロン・ディアス主演の「ザ・マスク」の江戸版、歌舞伎版、といっても良いのではないでしょうか(無理があるかな……)。「清水寺の舞台」を舞台に物語が展開します。桜姫を演じるのは、雀右衛門さん。お坊さんの清玄を染五郎さんが演じています。清玄はいわば「ボケ役」ともとれますが、皆さん楽しそうに演じているのが伝わってきます。1985年、昭和60年当時のギャグをやんわりと感じることができると思います。

 清水の舞台から桜姫が飛び降りるシーンでは、浅葱幕(あさぎまく)が大活躍。幕が下りた後に傘がゆったりと落ちる演出は、ぜひ注目ください。歌舞伎の美を感じられると思います。

 ビギナーは9月13日(水)に一幕見席で二度目を観劇したのですが、そのときはちょっとしたハプニングが。清玄に鳩に生き血を飲ませるために、籠の中にいる鳩を磯平(歌昇さん?)が取り出そうとするのですが、籠のとびらが開かずに鳩が取り出せない!1,2分はその場が凍りましたが、無事取り出せて芝居が続きました。ハラハラしました。





★★★☆☆(3)再桜遇清水 二幕目・大詰(さいかいざくらみそめのきよみず)
 序幕からの続きですが、後半は破戒僧侶となった清玄の暗い物語がメインとなります。明るいコメディーから一転したお芝居です。この幕での注目は「だんまり」でしょうか。暗闇のなかをゆったりと動きながら演じる歌舞伎独特の様式です。これは、ドリフの泥棒のシーンのようで、結構面白いですよ(例えが古くてすみません)。ほか、火の玉がでたり、池に人が捨てられたりと、大道具、小道具にも注目です。裏方さん、お疲れ様です。

 序幕から大詰めまで、堅苦しいことなく見られますので、歌舞伎ビギナーにも楽しく見られると思います。ぜひ、幕見席でもご覧ください。

▼昼の部の報告はこちら

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