玉三郎と中車ショー「十二月大歌舞伎」(第三部)オススメ度の星評価!


 好評の歌舞伎初心者向け、オススメ度の星評価表!!現在、東京・歌舞伎座で公演中の「十二月大歌舞伎」(第三部)の初心者向けのオススメ度表です。★が多いほど必見です。満点は★★★★★。公演会場での「盛り上がり度」、「眠っている人度」、「口コミ度」などを総合的に判断しました。★:オススメ、☆:イマイチ
今月は、「昼の部」「夜の部」の二部制ではなく、「第一部」「第二部」「第三部」の三部制です。

<第三部>
★★★☆☆(1)瞼の母(長谷川伸作)(6:30-8:13)
★★☆☆☆(2)楊貴妃(夢枕獏作)(8:43-9:11)




【総評】
・総合点★★★☆☆
 ビギナーに観て欲しいという視点からみて、及第点の三つ星。玉三郎が出演しているのでかろうじて三つ星になった、という感じです。一幕目は脚本家・長谷川伸作の新歌舞伎「瞼(まぶた)の母」。中車が主役です。わかりやすい内容ですが「普通の時代劇/お芝居。以上」とも言えます。二幕目は玉三郎の「楊貴妃」。日本舞踊ではなく、唐風の踊りを玉三郎が舞っています。うーん。玉三郎をよく知らないビギナーが、彼の素晴らしさをこの踊りで理解できるだろうか、という点が疑問で残念のため、辛口の二つ星としました。




<12月2日初日の観劇結果です>
<第一部>
★★★☆☆(1)瞼の母(長谷川伸作)(6:30-8:13)
 中車が主役の新歌舞伎です。歌舞伎のビギナーとして観る必要があるか、観た方がよいか、という視点からすると、同じビギナーとして答えに窮します。これは新歌舞伎すべてに共通していますが。新歌舞伎の場合は、舞台も落ち着いており、芝居をゆったりと観ることができると思いますので(荒事などに比べると)、それぞれの役者さんの芸風などを確認する場としてもよいと思います。ビギナーのわたしは、新歌舞伎で役者さんの顔と名前が一致するようになりました。

 このお芝居は博徒が旅をする「股旅物(またたびもの)」です。その博徒は探し続けていた母をようやく探し当てたけれど、その母は自分の母だと認めてくれない。母を求める旅で知り合った人々との出会いと、自分の子供と認めない母が葛藤する様子が、きめ細やかに描写された芝居です。

 主役の股旅物の忠太郎に中車、その母に玉三郎。板東亀蔵、児太郎、梅枝、歌女之丞、萬次郎、権十郎、市蔵と豪華な配役が脇を固めます。とても安定した布陣です。みなさま、ありがとうございました。

 中車オンステージ。玉三郎の母親役も安定していてお芝居の世界にすんなり入り込めます。長谷川伸の作品に「はずれ」はありませんね。芝居後半では、会場から鼻をすする音も聞こえてきました。寝ている人もあまりいないようでしたし、みなさん、楽しんでいるようでした。ビギナーとしては、1時間20分のお芝居はちょっと長い印象でした。もっとコンパクトに!とは言いませんが、1時間以内だとベストですね。中車には、新歌舞伎以外の伝統歌舞伎にもどんどん出演して、挽回(なにを)してほしいと思います。





★★☆☆☆(2)楊貴妃(夢枕獏作)8:43-9:11
 ビギナー視点から辛口の二つ星。残念ながら玉三郎の素晴らしさは、この所作事からわ伝わってきませんでした。ビギナーゆえの経験不足のためです。申し訳ございません。ビギナーには、別の玉三郎の舞踊ものを観ていただきたいと思います。

 今回の玉三郎は、手のひらまでもすっぽりと隠れる袖の長い衣装のため、肝心の「手先と指」が見えない。通常の日本舞踊ですと、指先までに気を配って踊って、舞踊の素晴らしさを堪能できるのですが、今回はそれがなかったのがどうしてもひっかかりました。

 とはいっても、体の優雅な動き、二つの扇子を器用に操って踊る姿には余裕さえ感じられました。ありがとうございました。中車も方士役で登場しますが、ワンポイントでの登場で、玉三郎の引き立て役に徹していました。お疲れ様でした。




 実はこの演目で一番素晴らしかったのは、演奏です。上手(かみて)側のぶん回しの前に大きな場所をとって演奏者の場所が確保されておりました。特に琴と胡弓は素晴らしかった。琴は8人の演奏者がソロを演じたり、ユニゾンで演じたりと聞いていて飽きませんでした。8人のうち一人は男性でしたが、ほかの演じている7人女性のかたも、超ベテランの妙齢の方々ばかり(失礼!)で、とても親しみを覚えました。最近、和楽器の演奏というとアイドルみたいに可愛い女性が演奏するなどに違和感を感じていたので、とてもすっきりした感じでした。また、琴の音色に胡弓が重なり、幻想的な雰囲気をうまく醸し出していました。

 玉三郎の踊りだけでなく、演奏にもぜひご注目ください。




▼第一部の報告はこちら
▼第二部の報告はこちら

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