孝玉コンビに感動した!「三月大歌舞伎(2018)」(夜の部)オススメ度の星評価!


好評の歌舞伎初心者向け、オススメ度の星評価表!!現在、東京・歌舞伎座で公演中の「三月大歌舞伎」(夜の部)の初心者向けのオススメ度表です。★が多いほど必見です。満点は★★★★★。公演会場での「盛り上がり度」、「眠っている人度」、「口コミ度」などを総合的に判断しました。★:オススメ、☆:イマイチ

<夜の部>
★★★☆☆(1)於染久松色読販(4:30-5:16)
★★★★★(2)神田祭(5:46-6:06)
★★★☆☆(3)滝の白糸 一幕目(6:21-6:41)
           二幕目(6:51-7:34)
           三幕目・四幕目(7:44-8:55)




【総評】
・総合点★★★☆☆
 三月大歌舞伎夜の部のビギナー向けの星評価は三つ星としました。三幕目の新歌舞伎の評価で大いに迷いましたが、仁左衛門と玉三郎がでている芝居を観ることができるということで、及第点としました。

 一幕目の於染久松色読販(おそめひさまつうきなのよみうり)は、悪い人がかっこいい話で、観ていてもう爽快! そして、二幕目のにぎやかな神田祭。いや、これは往年の「孝玉(たかたま)コンビ」の復活ですね。こちらが観ていて恥ずかしくなるほど仲が良くて、まいりました。三幕目は新歌舞伎の「滝の白糸」。壱太郎と松也のコンビで哀しい物語を演じています。衝撃的な悲し結末に会場全体が動揺しているのが伝わってきましたが、それだけ素晴らしいお芝居だったのでしょう。歌舞伎ビギナーとしては、三幕目は新歌舞伎のためちょっと歌舞伎っぽくないので、クエスチョンが頭に浮かぶかもしれませんが、これも歌舞伎という広い視点を養うためにぜひ観ていただきたいところです。





<3月10日(土)の観劇結果です>
★★★☆☆(1)於染久松色読販(4:30-5:16)
 於染久松色読販。「おそめひさまつうきなのよみうり」と読みます。絶対にそうは読めませんよね。これが読めるとプチ自慢ができることでしょう。さて、仁左衛門、玉三郎が出演する贅沢なお芝居です。このお二人がでているお芝居は、現在の歌舞伎の最高レベルと言ってもよいのではないでしょうか。しかし、ビギナーからすると「これって歌舞伎?」「普通の時代劇?」と思うかもしれませんので、三つ星としておきました。ビギナーから中級にはいった初心者には、そのよさがわかることでしょう。

 お芝居は、仁左衛門演じる喜兵衛と、玉三郎演じる土手のお六が、ゆすりたかりをして、最後にバレてしまう、というお芝居です。四谷怪談などを残して有名な鶴屋南北の作品です。舞台は庶民の長屋でフグの毒にあたった死人(今回は生きていますが)を連れてお金をゆする、という似たような話に「駱駝」という落語を題材にした話がありますが、それにちょっと似ているのかな、とビギナーは思いました。その駱駝は2017年12月の十二月大歌舞伎(歌舞伎座)で愛之助、中車が熱演していましたね。

 人間関係はそんなに複雑ではありませんが、事前に予習しておくとより安心してお芝居を楽しめると思います。仁左衛門、玉三郎ほかの配役は、錦之助、坂東亀蔵、橘三郎、彦三郎と安定していますね。亀蔵、彦三郎は、襲名してより立派になりました。ちなみに、玉三郎が演じるお六の商売は、たばこや。「莨(たばこ)」という難しい字を使っていますね。

 そして、やはり仁左衛門です。「色悪(いろあく)」という、色っぽい悪者を演じさせると、仁左衛門の右に出るものはいないでしょう。とよく言われますので受け売りですが、その通りなんです。格好よい。そして玉三郎の悪女にも、感動した。なんにも言えません。舞台を見て面白かったのは、悪事がどんどんバレていくのに、知らんぷりしてキセルをふかす仁左衛門の姿。そして、最後に二人でカゴを担いで花道へ。とても楽しいお芝居、ありがとうございました。




★★★★★(2)神田祭(5:46-6:06)
 仁左衛門と玉三郎による、舞踊の演目です。現在の歌舞伎を知るためには、ぜひビギナーも観た方がよい演目だと思いましたので満点の五つ星としました。最高の役者に演じられるお芝居が素晴らしいものだ、というのがよくわかる例だと思います。ビギナーのわたしは仁左衛門をひいきにしていますので、その点を差し引いていただければ。

 舞台は、チョンと柝がなって浅葱幕(あさぎまく)が切り落とされて始まります。演奏は清元連中で、唄い方が4名、三味線が3名。こういうときには、「三挺四枚(さんちょうよんまい)」と言います。「挺」が三味線の数詞、「枚」が長唄の歌い手の数を示す邦楽用語のようです。

 芸者役の玉三郎が花道から登場、華やかな舞踊ものが始まります。そして、仁左衛門が鳶頭(とびかしら)役で登場し、粋な江戸っ子ぶりを演じます。途中で二人がアツアツなシーンなどもあり、始終ハラハラさせられました。後半花道の上での場面では、ほんとうに二人がチューをするのかとおもうほどに顔を寄せ、会場がどよめいていました。いや、よいものを見せていただきました。ビギナーはぜひ一度観てみましょう。ビギナーの私も幕見でもう一度みようと思っています。ありがとうございました。




★★★☆☆(3)滝の白糸 一幕目(6:21-6:41) 二幕目(6:51-7:34) 三幕目・四幕目(7:44-8:55)
 三幕目は新歌舞伎です。泉鏡花の名作で、明治27年に新聞に連載された「義血俠血」という小説がもとになっているとのことです。裁判所なども登場する、現代劇に近い新歌舞伎です。「歌舞伎を観に来たのに普通のお芝居じゃない!」と期待はずれだと思う方がいるかもしれませんが、いえ、これも歌舞伎ですから、ぜひ楽しんでいただきたく思います。

 配役は、滝の白糸役を壱太郎、村越欣也を松也が熱演しています。熱演とはまさにこの二人にふさわしい言葉です。舞台は、馬がいななき、蹄が響く効果音で幕が開きます。現代劇ですので、予習は不要だとは思いますが、冒頭の滝の白糸と村越欣也の出会いのやりとりは、ちょっと把握しづらいかもしれません。かなり長い間セリフのやりとりが続くのでしっかりと聞く必要があります。イヤホンガイドがあれば助かるでしょう。

 滝の白糸は水芸の芸人。羽子板から水が飛び出すその水芸の模様も途中で演じられ、昔懐かしい雰囲気を楽しむことができると思います。昔、正月になるとテレビ番組でそのような芸を見たような気がしました。そして、ここにはストーリーは書きませんが、衝撃的な結末に、会場がどんよりとした空気となっていました。ビギナーのわたしも、あまりにも衝撃的で、重たい雰囲気で歌舞伎座を去りました。

 しかし、それは裏返すとお芝居が素晴らしいということにもなるのでしょう。一番素晴らしかったのは松也でしょうか。最後に裁判官の役を担当していましたが、もう圧巻です。言葉は不要です。ぜひご覧いただければと思います。素晴らしいお芝居、ありがとうございました。





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