夏祭浪花鑑は必見!「9月文楽公演(2018)」初心者向けオススメ度の星評価!


 好評の歌舞伎・文楽初心者向け、オススメ度の星評価表!!東京・国立劇場小劇場で公演された「9月文楽」(第一部、第二部)の初心者向けのオススメ度表です。★が多いほど必見です。満点は★★★★★。公演会場での「盛り上がり度」、「眠っている人度」、「口コミ度」などを総合的に判断しました。★:オススメ、☆:イマイチ

●第一部(午前11時開演)●
★★★☆☆(1)南都二月堂 良弁杉由来(ろうべんすぎのゆらい)
 良弁杉由来は、標準点の三つ星です。ストーリーがわかりやすく、安心して観劇できるでしょう。文楽にありがちな、悲惨な、凄惨な場面は一切なく、ある意味新鮮と言えます。

 幕がひらいてまもなくすると、巨大なワシが天井から登場、子供をさらってすぐに飛び去っていきます。このワシはあっというまにいなくなりますので、要注意です。開幕とともに心地よい義太夫の声に安心し、油断して眠ってしまうと、このワシを見逃してしまうので、要注意です。わたしの隣のひとはぐっすり眠っていてワシを見逃していました。

 「桜の宮物狂の段」では豊竹咲寿太夫(さくじゅたゆう)が登場します。サクちゃん、イケメンですよね。人気があると聞いています。より露出して文楽イケメンをアピールしてほしいところです。

★★☆☆☆(2)増補忠臣蔵(ぞうほちゅうしんぐら)
 これは苦渋の判断として、二つ星としました。内容が渋すぎる。そもそも「仮名手本忠臣蔵」を知らないとかなりキツイでしょう。もちろんこれだけでも一つの芝居ですが、この裏にある忠臣蔵を知ってこそ、楽しめるお芝居です。最近ですと、国立劇場で鴈治郎がまさに演じていました。渋い演目ですね。



●第二部(午後4時開演)●
★★★★☆(3)夏祭浪花鑑(なつまつりなにわかがみ)
初代並木千柳・三好松洛・初代竹田小出雲による作品です。悲惨な内容のため、近松作品かと思いましたが違いました。これぞ文楽!というくらい、どろどろとした内容で、ビギナー必見です。ぜひ江戸時代におきた凄惨な事件を体験いただきたく思います。

 みどころは、団七が義父の義平次を斬る場面です。手違いでちょっと傷つけてしまったのをきっかけに、凄惨な殺人と発展していく場面は、引き込まれます。義平次の人形は「ガブ」とよばれる、あごが大きく動く人形となり、殺されるときの苦しみなどを人形で表現しています。

 それにしても、この殺人の場面が長いのです。殺人事件の再現をずっと見ることになるのですが、しかし、ハラハラさせられて飽きることがありませんでした。テレビも映画もない時代の江戸時代に人気があったのがわかるような気がします。「江戸時代にどうしてこんな悲惨な物語の人気があったのだろうね」「それは大衆のストレス発散だったんじゃないの?」。終演後、若い男女が会話をしていましたが、まさにそのような感想をいだいている方が多かったのではないでしょうか。観ている内にふと我に返ると、だれしもそのような疑問が頭をもたげることでしょう。

 さて、最後の「田島町団七内の段」では、殺人事件の犯人として追われる団七の立ち廻りが見られます。人形浄瑠璃の立ち廻りは、演じる方々がほんとうに大変そう。みなさま、お疲れ様でした。

 この「夏祭浪花鑑(なつまつりなにわかがみ)」は歌舞伎でもよく演じられる有名な演目です。ビギナーのわたしは、歌舞伎版も観たことがありますが、文楽のほうが悲惨度がかなり上です。文楽だからこそより悲惨に、凄惨に演じることができるよい例かもしれません。

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