笑い続ける咲太夫は必見!「国立劇場2月文楽公演(2019)」(第一部)初心者向けオススメ度の星評価!

 好評の文楽初心者向け、オススメ度の星評価表!!現在東京・国立劇場小劇場で公演されている「2月文楽公演」(第一部)の初心者向けのオススメ度表です。★が多いほど必見です。満点は★★★★★。公演会場での「盛り上がり度」、「眠っている人度」、「口コミ度」などを総合的に判断しました。★:オススメ、☆:イマイチ

<第一部>
★★★★☆(1)桂川連理柵(11:00-13:44)
 国立劇場での平成31年最初の文楽公演は、第一部の「桂川連理柵(かつらがわれんりのしがらみ)」でスタートです。この物語はズバリ心中ものです。文楽の心中ものというと作者は近松門左衛門が有名ですが、この作品は菅専助(すがせんすけ)の作品です。作者は違いますが、実際にあった心中を題材にしているということで、「曽根崎心中」に似ているということもあり、ビギナーは見るべきでしょう。そのため四つ星としました。文楽の「心中もの」にぜひ触れていただきたいと思います。

 このお話しは、宝暦十一年(1762年)に桂川で発見された38歳の男性と14歳の女性の遺体の話を題材に作成された芝居とのことです。イヤホンガイドによると、この二人は心中なのか、いや殺人事件に巻き込まれたのだ、など諸説あるらしいですが、ここでは心中ととらえて作られた話しとなっています。

 ストーリーは複雑です。人間関係はとくに複雑ですので、初心者はしっかりと予習をしてのぞみましょう。歌舞伎の「桂川連理柵」の人間関係図がここにありますので、参考にしてください。

 メインのストーリーは、ふとしたことで男女の関係になってしまった「長右衛門(ちょうえもん)」と「お半(おはん)」の、男女の関係になった話から、最後の心中までを主筋としています。長右衛門が経営する(長右衛門は帯屋の養子)帯屋の小舅(こじゅうと)の儀兵衛(ぎへえ)、丁稚の長吉(ちょうきち)、妻のお絹などが登場する人間模様です。お店の主従関係と人間関係が複雑にからんでいるので、しっかりと把握しましょう。

 このお芝居のみどころは、「帯屋の段」の「切り場語り」の豊竹咲太夫(さきたゆう)の「ずっと笑う」シーンでしょう。「切り場語り」とはその幕の一番の盛り上がり箇所を語る太夫のことで、実力者が担当します。豊竹咲太夫が担当しますが、儀兵衛が長吉をののしって笑う場面は、ほんとにもうかなり長い間「ひゃはっは」「あっはっは」「ぶわっはっはっ」と笑い続けるのです。圧巻です。咲太夫は、つばをとばしながら、そして、鼻水をたらしながら、苦しそうにも見えますが、ほんとうに楽しそうに笑っています。笑い続けます。見ているだけでこっちも楽しくなります。同じように笑い声をまねしたくなる、笑ってみたくなると思います。その迫力に感服するでしょう。めちゃくちゃ楽しいですので、ぜひお楽しみください。

 最後の「道行朧の桂川(みちゆきおぼろのかつらがわ)」では、5挺5枚の豪華な演奏で、浅葱幕から始まる幕です。途中のセリフも興味深く「千万年も連れそうて…」という言葉があったりと、文楽の醍醐味をたのしめるでしょう。

 ほか、石部宿屋の段の豊竹芳穂(よしほ)太夫、六角堂の段の豊竹咲寿(さきじゅ)太夫、そして最後は、たしか昨年襲名した竹本織太夫(おりたゆう)が登場、豪華なお芝居を楽しめます。みなさま、すてきな舞台をありがとうございました。



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