文楽の阿古屋は必見!「国立劇場2月文楽公演(2019)」(第三部)初心者向けオススメ度の星評価!

 好評の文楽初心者向け、オススメ度の星評価表!!現在東京・国立劇場小劇場で公演されている「2月文楽公演」(第三部)の初心者向けのオススメ度表です。★が多いほど必見です。満点は★★★★★。公演会場での「盛り上がり度」、「眠っている人度」、「口コミ度」などを総合的に判断しました。★:オススメ、☆:イマイチ

<第三部>
【総合点】
★★★☆☆(三つ星)
 平成31年国立劇場文楽第三部は、二つのお芝居が観られます。ひとつめは、鶊山姫捨松(ひばりやまひめすてのまつ)「中将姫雪責の段」と、もうひとつは、壇浦兜軍記(だんのうらかぶとぐんき)「阿古屋(あこや)琴責の段」です。二つとも「責めの段」ですが、「責め具合」が全然違うお芝居です。一幕目は雪の景色が美しい文楽、二幕目は音楽を楽しむ文楽、と言えるかもしれません。ビギナーとしては、文楽人形のダイナミックな動きを楽しめないのでちょっと物足りないのではと一幕目は三つ星としました。細やかな動きは楽しめますので、ご期待ください。

【各演目の講評】2月9日の観劇記録です。
★★★☆☆(1)鶊山姫捨松・中将姫雪責の段(18:00-19:04)
 幕が開くと舞台は一面の雪模様。ここで桐の谷と浮舟の二人の女性が争っています。このお芝居は、このいじめられている桐の谷をなんとか救おうとする話をメインとして、最後にもどり(種明かし)がある、というお話です。この前段となる話を把握しないでお芝居を観ると、「ただのいじめのお芝居」となりますので、ビギナーは要注意です。雪の舞台は季節にふさわしいのですが、この段だけだと奥深さを感じ取ることは難しいのでは、ということでビギナー向けとしては及第点の三つ星としました。

 お芝居後半の「奥」のパートでは、ビギナーの私ごひいきの竹本千歳太夫が登場です。千歳太夫の笑い声、女性の声が、わたしは大好きなのです。今回は、姫に白状をせまる場面での、「サ、有様に白状しや」「ア−イー」「さ、どうぢゃ」「アーイー」「エエイ、しぶとい。言わずばこうして言はする」・・・という場面が、一番千歳太夫ぽかった、と思いました。とても楽しませていただきました。人形使いは中将姫を吉田簑助がつとめています。

★★★★☆(2)壇浦兜軍記・阿古屋琴責の段(19:24-20:34)
 さあ、二幕目は歌舞伎でも頻繁に演じられる「阿古屋(あこや)」です。つい最近も歌舞伎座で、玉三郎が阿古屋を演じていました。この阿古屋は、恋人の景清の居場所をつきとめようと、阿古屋に景清の居場所を白状させるという物語です。そしてそれはただの拷問ではなく、琴、三味線、胡弓を弾かせて、その演奏の具合から景清の居場所を知っているかどうかを試そうという話です。

 先日の歌舞伎では、玉三郎が実際に、琴、三味線、胡弓を奏でて拍手喝采でした。素晴らしい役者としての素養を惜しげも無く披露しておりました。一方の文楽、人形が演じるのですが、演奏者とのタイミングが面白いくらいあっているのを楽しむことができるでしょう。指の動きから、拍子をとる動きまで。ビギナーもぜひそのシンクロ具合をご覧いただきたい、という視点で四つ星としました。

 阿古屋を操るのは、桐竹勘十郎です。そして、この阿古屋は三人出使いです。つまり、主遣い、左遣い、足遣いの3人とも素顔をだしてのお芝居となります。いつもは顔を出すのは主遣いだけですがら、新鮮です。ビギナーはぜひこの3人の真剣ぶりをみていただきたいと思います。そして、太夫は、阿古屋が竹本津駒太夫、重忠に竹本織太夫と、安定した布陣です。そして三味線は、鶴澤清介。眼光するどく頭も鋭く光っている清介の演奏を堪能ください。

 ストーリーはほぼないに等しいですのですが、予習はしておきましょう。最悪予習をしなくても把握はできるとは思いますが、予習をして奥深さを実感しましょう。オペラグラスを持っていくことをお勧めします。しかし、指の動きはほんとうに素晴らしいのですが、ダイナミックな動きがないのが残念です。この幕のどこかで、たとえばガブがあるような演出ですと、ビギナーも楽しめるのでは、と思いましたが、素晴らしい人形劇、ありがとうございました。 



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