二月大歌舞伎(2019)夜の部「孝玉コンビ」千秋楽は立ち見で大盛況!(一幕見席レポート)


 平成31年二月大歌舞伎の千秋楽、夜の部「名月八幡祭(めいげつはちまんまつり)」の一幕見席は立ち見がでるほどの大盛況でした。売り切れにはなりませんでしたが、お立ち台で観劇するひとがいるほどの人のいりで、孝玉コンビの根強い人気のほどが伺えます。

 この「名月八幡祭」は新歌舞伎の名作と言われているとのことです。ストーリーはとてもわかりやすくビギナーでもすんなり物語に入っていけます。イヤホンガイドを強力にオススメするビギナーのわたしとしては、このお芝居はイヤホンガイドはなしで、お芝居を楽しんでいただきたい、とも思いました。解説がちょっと少なすぎという印象があったためです。でももちろん、イヤホンガイドならではのよいところもありますので、古典もの観劇のときは、イヤホンガイドは絶対に借りてください。

 それにしても、仁左衛門と玉三郎の孝玉コンビは貴重です。お芝居の冒頭からこの二人のやりとりを観られるなんて、なんと贅沢何ことでしょう。二人のとても息の合ったお芝居を今後観る機会はどんどん少なくなりますので、ビギナーはぜひ機会を見つけて観るようにしましょう。それにしても、このお二人のお芝居をみていると、本当に仲が良さそう。観ているだけで二人のこれまでの歩みを実感できるはずです。

 ちなみにこの「名月八幡祭」での孝玉コンビは、なんと30数年ぶりの復活とのことですよ。日本の歌舞伎界の至宝の二人が一緒に芝居をしていいるところを観られるなんて、幸せです。そして遊女とその間夫という二人の感情の機微、微妙なやりとりを見事に表現しています。

 そして、なんといってもやはりこのお芝居の主役は松緑です。木訥な田舎の商人、新助が玉三郎演じる美代吉にだまされて気がふれてしまう、という役なのですが、まさに適役です。松緑のあの大きな目が、新助の感情の動きを見事に表現しています。松緑の真面目な雰囲気がうまく組み込まれたお芝居です。

 お芝居の最後は、気がふれた新助が美代吉を殺し、そして法被(はっぴ)を着た祭りの若者衆に、まるで神輿のように担ぎ上げられ、「ワッショイワッショイ」と胴上げをされながら花道から消えてゆく、という展開ですが、「殺人」という異次元の出来事と、「お祭り」という非日常の組み合わせをとても考えさせられるお芝居です。

 そして、このお芝居は大道具さんも大活躍です。二幕目、舞台は一面の川模様。長吉こと松江が猪牙舟(ちょきふね)に乗せた美代吉とともに登場し、それを新助が見惚れてしまう、というこのお芝居の端緒となる大事な場面は、まさに舞台上が川岸となり、とても素晴らしい舞台空間を作り上げていました。

 みなさま、素晴らしい舞台をありがとうございました。



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