仁左衛門ショー! 「通し狂言 霊験亀山鉾」オススメ度の星評価!


 好評の歌舞伎初心者向け、オススメ度の星評価表!!現在、東京・国立劇場で公演中の「通し狂言 霊験亀山鉾」の初心者向けのオススメ度表です。★が多いほど必見です。満点は★★★★★。
公演会場での「盛り上がり度」、「眠っている人度」、「口コミ度」などを総合的に判断しました。
★:オススメ、☆:イマイチ



【総評】
★★★★☆(1)「通し狂言 霊験亀山鉾(れいげんかめやまほこ)-亀山の仇討-」
 通し狂言 霊験亀山鉾-亀山の仇討-

<10月22日の観劇記です>
 ビギナー視点からみて四つ星といたしました。派手なメイクの「隈取り」があまり登場しない、ちょっと長い(通し狂言ですけどね)、ストーリーが若干複雑かも、ということで、苦しいですがひとつ減点です。しかし歌舞伎の世話物としてはとても面白く、傑作なのではないでしょうか。歌舞伎通の方にとっては文句なし五つ星でしょう。

 とにかく主役の片岡仁左衛門が格好いい。「ニザサマ・オンステージ」とも言えるでしょう。二枚目なのはもちろんのこと、とても通りの良い声、豊かな表情による感情表現も最高です。仁左衛門を観たことのないかたは是非ご覧くだきたい演目です。

 お芝居は四世鶴屋南北の仇討ち物です。「鶴屋南北(つるやなんぼく)」は有名な歌舞伎の原作者ですので、ビギナーの方は覚えておきましょう。日本人は仇討ちが好きですよね。忠臣蔵も仇討ちものですし。イヤホンガイドでは、江戸時代の仇討ち事情を詳しく説明してくれて「へー」しきりでした。明治政府になるまで公式に仇討ちが認められていたらしいです。いや、イヤホンガイドはほんとためになります。

 芝居は片岡仁左衛門が演ずる水右衛門が悪役で、悪役が主役という演目。その悪役がいい男の歌舞伎を「色悪」と呼ぶそうです。その水右衛門の仇討ちのためにみんなが協力して、最後に仇討ちを果たして大団円と、とてもすっきりするお芝居です。江戸時代の人もこの芝居を観てストレス解消をしたのでしょう。現代人のビギナーのわたしも、おかげさまでストレス解消できました。ありがとうございました。



 脇を固める布陣も豪華です。又五郎、錦之助、孝太郎(たかたろう、仁左衛門の長男)、雀右衛門、彌十郎、歌六、歌昇、秀太郎、橋之助、梅花などなど(順不同)。ビギナーは最低でもこれら全員の顔と名前を一致させておいたほうが、歌舞伎ライフががぜん楽しくなる思います。とくに、今回の演目では又五郎、錦之助がとてもよかった。安心して観られました。もちろん、雀右衛門、孝太郎も、いや全員が。

 このお芝居の見どころを二つあげるとすると、実際の雨が降ってもつれあう場面と、棺桶(樽状)から仁左衛門が登場する場面でしょう。実際の雨が降る中、仁左衛門と雀右衛門がはげしく刺し合います。3等席から観ると舞台床に雨水が吸い取られていくのにいたく感心しました。この雨水に紛れながらの演技を観て、ビギナーのわたしは、文楽公演で以前観た「女殺油地獄」の油まみれで格闘する場面を思い出しました。息をのむシーンが続きました。樽の中から登場する場面は、格好よかった、ニザサマ。大向こうさんのかけ声がその場面に花を添えていましたね。

 このお芝居では、動物も2種類出てきます。ヘビにオオカミ。オオカミはちょっと安っぽくで可愛い感じでしたよ。ほか、「愛想尽かし」「だんまり」という歌舞伎の様式美も楽しめます。公演は残り少ないのですがビギナーのみなさん、ぜひ観劇しましょう。





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