「壽初春大歌舞伎(2023)」(第三部)通し狂言 十六夜清心」初心者向けオススメ度の星評価!

好評の歌舞伎初心者向け、オススメ度の星評価表!!現在東京・歌舞伎座で公演されている「壽初春大歌舞伎」(第三部)の初心者向けのオススメ度表です。★が多いほど必見です。満点は★★★★★。公演会場での「盛り上がり度」、「眠っている人度」、「口コミ度」などを総合的に判断しました。★:オススメ、☆:イマイチ

<第三部>
(1)★★★☆☆花街模様薊色縫「十六夜清心」序幕(5:45-7:00)
(2)★★★★☆花街模様薊色縫「十六夜清心」二幕目・大詰(7:35-8:35)

【総評】
・総合点★★★★☆
壽初春大歌舞伎の第三部は、人気演目として最近でもよく演じられてきた「十六夜清心(いざよい・せいしん)」です。有名な歌舞伎作家、河竹黙阿弥の作品として、初心者は必見といえます。一度は見ておく必要があります。ストーリーは複雑ではありません。十六夜(女性)と清心(男性)の恋物語ですから、肩肘張らずに楽しめる作品です。河竹黙阿弥の有名作品でもありますので、初心者が見ても楽しめるか、観るべきか、という視点からすると、見るべき作品ということで、四つ星としました。主人公の二人の配役が注目される演目ですので、その点を気にかけて観劇するとよいでしょう。

【演目ごとの講評】
<初日2日の観劇記録です>
(1)★★★☆☆花街模様薊色縫「十六夜清心」序幕(5:45-7:00)
このお芝居の設定は鎌倉ですが、江戸時代の隅田川を想定してかかれたお芝居と言われています。その稲瀬川(隅田川)の河川敷、川のそばで物語は展開されます。舞台上に薄暗い、寒々とした川の様子が表現されています。暗い、もの悲しい展開を舞台装置が暗示しているのです。
序幕の最初に、ちょっとこっけいな口上があります。このあたりが歌舞伎の醍醐味と言えるかもしれません。
その後は、幸四郎演じる清心(せいしん)と七之助演じる十六夜(いざよい)の長いやりとりが続きます。長唄にのって、二人のやりとりが続くのですが、ここが関門です。長唄の高い声の歌声と二人のゆったりとしたやりとりは、とても心地よく、強烈に観客の眠りを誘います。案の定、会場を見渡すと多くの方がここでちょっとお休みになっているのが確認できました。
物語は、二人が川に身投げをするところでひとつのクライマックスを迎えます。そして、その二人がそれぞれ生き延びることで物語が展開していくのです。
見どころは、身投げまでの二人の長ーいやりとりと、助かった清心と壱太郎演じる求女のやりとりでしょう。幸四郎が清心の不安定ぶりを表現しています。幸四郎のすこし枯れかかった声が、どくとくの寂しさを醸し出しています。また壱太郎の求女も、なよなよっとした、和事のような雰囲気を上手にかもしだしていて、観ているものをハラハラとさせるものです。弱い者同士のやりとりが注目です。
また、七之助を助けるのが梅玉演じる泊連ですが、アツシ模様の着物がとても様になっている、力強い男性を表現しています。アツシの着物がとてもおしゃれに見えます。
大事な点は、満月を観ることを境として、清心が違う人間に変貌することでしょうか。この前後の変化にどうぞ気をつけて観劇ください。

(2)★★★★☆花街模様薊色縫「十六夜清心」二幕目・大詰(7:35-8:35)
二幕目と大詰めは、序幕から一転して十六夜と清心の悪ぶりが発揮されるお芝居です。この幕はとてもわかりやすく、楽しめるでしょう。河竹黙阿弥のお芝居で特徴できな「七五調」のセリフにぜひ注目して、お芝居をみていただきたいと思います。
ビギナーとしては、とてもわかりやすい演目です。清心と十六夜のゆすりたかりは、弁天娘女男白浪にも通じる心地よさがありますので、初心者はこの点に注目して観劇ください。

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