海老様ショー!「團菊祭五月大歌舞伎(2018)」(昼の部)オススメ度の星評価!


 好評の歌舞伎初心者向け、オススメ度の星評価表!!現在、東京・歌舞伎座で公演中の「團菊祭五月大歌舞伎」(昼の部)の初心者向けのオススメ度表です。★が多いほど必見です。満点は★★★★★。公演会場での「盛り上がり度」、「眠っている人度」、「口コミ度」などを総合的に判断しました。★:オススメ、☆:イマイチ

<昼の部>
★★★★★(1)雷神不動北山櫻 発端・序幕(11:00-11:37)
★★★★★(2)雷神不動北山櫻 二幕目(11:57-1:00)
★★★★★(3)雷神不動北山櫻 三幕目・大詰(1:30-3:12)
★★★★☆(4)女伊達(3:27-3:43)




【総評】
・総合点★★★★★
 團菊祭五月大歌舞伎・昼の部のビギナー向けの星評価は、堂々の満点、五つ星です。今月の昼の部は、「海老様ショー」です。海老蔵さん、いろいろと工夫をこらしてとてもわかりやすい歌舞伎に仕立てています。雷神不動北山櫻(なるかみふどうきたやまざくら)は、歌舞伎での定番演目の十八番(おはこ)が三つも組み合わさっているお芝居で、かなりお得。今後いろいろと歌舞伎を観ようと思っているビギナーにもオススメできます。

 それは、これから何度も観るであろう演目が含まれており、かつとてもわかりやすい内容なためです。そして、なんといっても、おちゃめでちょっと可笑しい演目でもありますので、楽しめること間違いなし。一般的に思われている「ザ・歌舞伎」とは違う、親しみのある歌舞伎を楽しめると思います。ぜひ歌舞伎座に足を運び、歌舞伎の醍醐味を楽しんでいただきたく思います。これからの歌舞伎ライフの予習的な演目となるに違いありません。




<5月4日(金祝)の観劇記録です>
★★★★★(1)雷神不動北山櫻 発端・序幕(11:00-11:37)
★★★★★(2)雷神不動北山櫻 二幕目(11:57-1:00)
★★★★★(3)雷神不動北山櫻 三幕目・大詰(1:30-3:12)
 團菊祭五月大歌舞伎は、なんと意外なことに海老蔵の口上(こうじょう、挨拶)から始まるのです。この口上で、海老蔵は、このお芝居で自らがこなす5役の写真をバックに、海老蔵自身がその役の説明とストーリーを紹介するのです。これはすばらしい企画・演出です。歌舞伎ビギナーにしてみると、歌舞伎はストーリーが複雑で、かつ、主役が誰が誰だかわからなくなることも多く、そこで敬遠してしまう人が多いことでしょう。しかし、このように丁寧に事前に説明してくれるとかなりすんなりとお芝居に集中できます。海老蔵のこころ配りに文句なし五つ星です。いや、六つ星でしょうか。

 雷神不動北山櫻(なるかみふどうきたやまざくら)のストーリーは、いちおあるのですが、ズバリどうでもいい! このお芝居は、見た目で楽しむ芝居です。難しく考えずに、それぞれの場面を楽しみましょう。最後に早雲という悪者がでてきて、それを成敗して大団円、という程度で十分だと思います。




 二幕目は歌舞伎十八番(おはこ)の「毛抜(けぬき)」です。まさに、家庭用品の毛抜きが登場する、異色の歌舞伎演目です。その毛抜きの巨大版がおどったり、巨大な磁石がでてきたりと、ちょっと不思議な歌舞伎を楽しむことができるでしょう。二幕目では、いつもは女形(おやま)で活躍することが多い児太郎が、立役の秀太郎を演じています。女形も美しいのですが、立役もかっこいい。さすが大物です。ここにもぜひ注目ください。もちろん、海老蔵の仁木弾正は言うことありません。驚くしぐさが大げさすぎて、観ているこちらも楽しくなりますから。

 この演目のとき、舞台の両端には、右側(下手側)の巨大な木の札に「歌舞伎十八番毛抜の幕」、左側には「市川海老蔵があいつとめます」というような看板が表示されます。これは、歌舞伎十八番独特の形式で、昔ながらの雰囲気を醸し出すことに一役かっております。

 次に「鳴神(なるかみ)」の幕です。この部分は、海老蔵と菊之助のちょっとなまめかしいやりとりが結構長いです。海老蔵が菊之助演じる「雲の絶間姫」の胸を触り、「いや、それはチチだ」とか言ったりして、いや、なんとも苦笑いです。ほほえましいやりとりを楽しむことができます。




 続いて「百日かつら」という、まさに「ザ・歌舞伎」とも言える、巨大なアフロヘアのような髪形で海老蔵が登場。柱にからまって見得をきる「柱見得」のあと、「飛六方(とびろっぽう)」というスキップで花道を下がっていくなど、歌舞伎の醍醐味が詰まっている幕となっています。

 そうして最後の大詰めは派手は立ち回りです。大勢の役者さんが海老蔵相手に武闘するという場面です。みなさんの息の合った演技が見ものです。捕り手が赤い衣装なのがとても印象に残ります。とくに注目なのは、花道に大きなはしごをたてて、その上でみえを切るという場面です。花道の細い場所で見事に演じていましたが、観ているこちらもはらはらしました。けがのないように、千秋楽までお気を付け下さい。小さいはしごをつかって、成田屋の三升を模していたりもしました。

 そして本当の最後は、スモークがたかれて青い光につつまれた場面に。大薩摩の豪快な演奏が気分を盛り上げます。そしてしばらくすると、こんどは赤い光の中に不動明王役の海老蔵が登場するではありませんか。さらに、その不動明王が最後に浮き上がって幕。いや、怒濤の構成です。

 まさに、最後のほうはもう、ストーリーなんてどうでもよい。観ていて楽しければよいじゃないか、という歌舞伎十八番精神を現代に再現したとも言えるでしょう。最後に、「いや、すごいものを観た」と思うでしょう。みなさま、素晴らしい舞台をありがとうございました。




★★★★☆(4)女伊達(3:27-3:43)
 前の幕の白煙とともに余韻が残った中で、昼の部最後の演目が始まりました。女伊達は、時蔵のしっとりした所作立てです。尺八を背負った時蔵らが登場して、ゆったりと踊ります。前の幕が躍動感にあふれていたので、そのあとにしっとりと昼の部を引き締めるのにふさわしい内容です。舞踊モノは難しく考えずに観ましょう。

 女伊達を演じる時蔵が、男勝りの木崎のお光を演じます。時蔵さん、絵本合邦辻のうんざりお松といい、くせのある女形を演じると、当代一でしょう。ビギナーのわたしも大ファンです。ありがとうございました。

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