隼人の熱演に注目!「新春浅草歌舞伎(2019)」(第二部)初心者向けオススメ度の星評価!


 好評の歌舞伎初心者向け、オススメ度の星評価表!!現在東京・浅草公会堂で公演されている「新春浅草歌舞伎」(第二部)の初心者向けのオススメ度表です。★が多いほど必見です。満点は★★★★★。公演会場での「盛り上がり度」、「眠っている人度」、「口コミ度」などを総合的に判断しました。★:オススメ、☆:イマイチ

<第一部>
★★★★★(1)お年玉〈年始ご挨拶〉(3:00-3:05)
★★★★★(2)寿曽我対面(3:15-4:00)
★★★★☆(3)番町皿屋敷(4:25-5:45)
★★★★☆(4)乗合船惠方萬歳(6:10-6:40)




【総評】
・総合点★★★★☆
 平成最後の新春浅草歌舞伎、第二部のビギナー向け星評価は堂々の四つ星です。ビギナーのみなさん、ぜひ浅草に足を運んで新春歌舞伎をチェックしましょう。ビギナーでも飽きることなく楽しめると思います。「寿曽我対面(ことぶきそがのたいめん)」は、正月に演じられる江戸歌舞伎の代表的な演目です。フレッシュな面々による有名演目はぜひチェックしていただきたい。ほか、新歌舞伎の「番町皿屋敷」、楽しい舞踊ものである「乗合船惠方萬歳」と、バランスのよい三つの演目をたのしめて正月気分を味わえると思います。





【演目ごとの講評】
<1月6日の観劇記録です>
★★★★★(1)お年玉〈年始ご挨拶〉(3:00-3:05)
 1月6日の第二部は、種之助の年始の挨拶で開幕です。種之助は又五郎の次男です。お兄さんが歌昇ですね。終始マイクを使わず、りっぱな声での挨拶がたのもしいかぎりです。この年始の挨拶は毎年恒例ではありますが、たまにはサプライズで全員が登場する、などあるとうれしいですよね。




★★★★★(2)寿曽我対面(3:15-4:00)
 年始の挨拶に続いてのお芝居は、正月初芝居恒例の「曽我物(そがもの)」と言われるお芝居の代表、「寿曽我対面(ことぶきそがのたいめん)」です。歌舞伎通は「対面(たいめん)」といったりしますね。きらびやかな舞台の上で、様々な役柄が一堂に会する、とても豪華なお芝居です。歌舞伎らしい、とても贅沢なお芝居を楽しめますので、ビギナー必見です。時間も長くもなく、眠たくなることなく楽しめると思います。

 「寿曽我対面」にストーリーはあることはあるのですが、ビギナーは豪華な舞台を楽しむだけで十分でしょう。ちょっと気になるビギナーの方、初心者の方にどんな内容か簡単に説明しましょう。この物語は蘇我五郎、蘇我十郎という兄弟が、その兄弟の父を殺した仇、工藤祐経にようやく対面することができて、対決を申し込む、という筋です。以上。簡単ですね。その主筋を覚えておくだけで十分お芝居は把握できると思います。




 ようやく工藤祐経に会うことができた曽我兄弟が花道から現れます。血気溢れる弟の五郎はすぐにでも工藤祐経をやっつけようと意気込みますが、兄の十郎はそれをたしなめます。最後に、工藤祐経はここではなんだからと、通行手形をわたし、そこで決戦を受けよう、として終わるのです。え?どうしてその場でやっつけないの?仇を討たないの?と不思議なのですが、血なまぐさいエンディングを避けている、歌舞伎の奥深さを感じるようにしましょう。この演目はストーリーが単純なだけに、いろいろな視点から楽しめるお芝居だと思います。

 とにかく、舞台上のいろいろな役柄の俳優が見て楽しい。「歌舞伎のキャラ大集合」という感じですので、見た目をぜひ楽しんでいただきたく思います。今回は、五郎を松也、十郎を歌昇が演じます。そして、嫌味を言う役の朝比奈を巳之助、大磯の虎という遊女を新悟が演じています。朝比奈の妹、舞鶴が登場するのが多いのですが、今回は舞鶴が登場せず、舞鶴のセリフも朝比奈が担当していました。さて、巳之助が演じる朝比奈は、へんてこなメイクをして悪態をつく役柄で、悪役の極みのキャラですね。歌舞伎の楽しいところ、肩の力を抜いて楽しめるお芝居だと思います。ほか、上座には金髪長髪三つ編みのツッパリみたいな役もいて、見ていて楽しい大宇。ビギナーのみなさまなぜひご覧ください。





★★★★☆(3)番町皿屋敷(4:25-5:45)
 二幕目は新歌舞伎の傑作、「番町皿屋敷(ばんちょうさらやしき)」です。このタイトルはだれしも聞いたことがあるに違いありません。「いちまーい、にまーい、さんまーい」と殺されたお菊が皿の枚数を数える声が、死体を放り投げた井戸の中から聞こえるという怪談です。しかし、今回のこの演目は、その怪談の前段の話となります。お菊が殺された理由を解き明かす演目です。ちょっと残念に思う方もいるかもしれませんが、まったくそんなことはない。その怪談の成り立ちがよくわかることになりますので、ぜったいおすすめです。

 殺される腰元お菊を種之助、お菊を殺す青山播磨を隼人が演じています。このお芝居の見所は後半の、高価な皿をどんどんと割っていく隼人の怒りの場面です。播磨はいわば、わざと皿をわったお菊にキレて逆上し、次々と皿を割っていくのですが、この隼人の迫力にまいりました。
 いや、現代でもあるある、いるいるこんな人、と思ってしまいました。その場面まではちょっと眠たい場面が続きますが、ズバリ、そこは寝てもよしとしましょう。この気迫のこもった隼人の演技が見られればそれで満足としてください。




 いや、それにしてもお皿がどんどん割れていく。皿が割るのをみているだけで、ストレス発散になるのも狙いなのかも、と思ってしまうほど割れますので、みなさんご注目ください。

 今回の新春浅草歌舞伎は、一番の見所は第一部、義賢最後の豪快な立ち廻り、そして、2番目の見所はこの隼人の場面でしょう。若手ながら今後の歌舞伎界を背負っていく二人の安定した演技に大満足いただけると思います。ほか、橋之助の放駒、鶴松のお仙、大谷桂三、錦之助と安定しています。みなさま、素敵なお芝居をありがとうございました。





★★★★☆(4)乗合船惠方萬歳(6:10-6:40)
 そして最後は楽しい舞踊ものの「乗合船惠方萬歳(のりあいぶねえほうまんざい)」です。タイトルの通り、乗合船にのっていろいろな人がやってきてめでたい踊りを披露する、というお芝居です。BGMは常磐津という音楽で、とても楽しい雰囲気をかもし出します。ビギナーにも楽しめますので、難しいことを考えずにご覧いただければと思います。

 みなさま、来年の浅草歌舞伎も楽しみにさせていただきます。ありがとうございました。




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